平成30年度は、名古屋市内の中学校バスケットボール4チーム、共同研究者の所属機関のある兵庫県内のバスケットボール5チームから、国際的に信頼性が高いアクチグラフ(GT3X-BT)を用いて活動量を測定した。 部活動練習時の活動強度を男女で比較した結果、消費エネルギー、METs、MVPA(中強度+高強度)、三軸動作評価、歩数に関して有意差は認められなかった。しかし、中強度以下の活動強度はそれぞれ有意差が認められ、立位は女子(27.9±11.5%)が男子(22.6±9.2%)より高く、低強度は男子(9.5±3.2%)が女子(7.9±2.3%)より高く、中強度も男子(39.6±5.9%)が女子(34.4±7.1%)より高かった。この結果は、女子の方が指導者から動作を止めて口頭指導される機会が多かったのではないかと推察された。練習時のMVPAは男子67.8%、女子64.2%、時間に換算すると男子1.99時間、女子1.86時間であり、本研究対象チームは男女ともに国際基準の60分以上を確保していた。しかし、MPVAの推奨時間約2倍にあたる活動時間がオフシーズンを設けることなく年間を通して実施されていることが適切かどうかは傷害分析も含めて今後さらに検討する必要があると考えられた。 これまでの研究を通して、中学生のバスケットボール選手において、男女ともに練習時傷害発生率(IR)より試合時IRが高かったことから試合時IRの低減は重要な課題であり、下肢傷害発生への対応が必要であることが明らかとなった。試合時IRを低減するためには管轄の競技団体がピリオダイゼーションを導入し、公式戦の開催時期を見直す必要がある。また、現場の指導者は、年間を通して週末に開催されるカップ戦などの試合数を抑制する、あるいは年間を通した練習環境を見直し、ジュニア選手への過度な身体的負担を軽減することが重要であると考えられた。
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