本研究の成果から、原風景やスポーツ原体験といった幼少期の体験記憶の連続性が、その後の身体活動(スポーツ活動)の価値観や態度形成に影響を及ぼすことが考えられた。つまり、本研究の成果は、子ども時代の多様な体験がどのような連続性をもって自己に内包されていくべきか、あるいは、望ましい体験のあり方そのものについて示唆を与え、安易な「体験重視」の考え方にも注意喚起を促したものと考える。さらに、心理的問題を抱えたアスリートの心理臨床面接における「語り直し」の治療的意味を明らかにすることへもつながっていくものと考える。
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