研究課題
基盤研究(C)
本研究の目的は伝統芸能の指導・学習過程における「なぞり」の構造とその意義を明らかにすることである。学習者は指導者の模範的な動きを模倣する。指導者もまた学習者の動きの模倣を行おうとしている。それは指導者が学習者に間違いを気づかせるためである。「なぞり」と呼ばれる行為は指導者と学習者のどちらにも見られる。さらに、指導者は自分自身と学習者の動きを比較して、学習者が上手く出来ない要因をさぐっている。本研究では、このような行為を“さぐり”と命名した。
スポーツ社会学
「なぞり」とは学習者が指導者の手本の動きを模倣する行為である。本研究では指導者が学習者の動きを「なぞる」行為も確認できた。「なぞり」には相互性があるといえる。また、指導者が学習者の動きを「なぞる」ことが出来ない場合、指導者は学習者の躓きの要因を「さぐり」、学習者の身体への接近を目指していた。指導者が「さぐる」過程において指導者として育つ余地があり、学習者とともに育つ「共育」の可能性が浮かび上がった。