研究課題/領域番号 |
16K01646
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
寒川 美奈 北海道大学, 保健科学研究院, 准教授 (40360953)
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研究分担者 |
山口 太一 酪農学園大学, 農食環境学群, 准教授 (40438362)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 寒冷環境 / スティフネス / 柔軟性 |
研究実績の概要 |
寒冷環境下における生体反応では,最大酸素摂取量や皮膚温,血流等の呼吸循環系,神経系,筋力や筋収縮速度等の機能面の低下が報告されている.温熱刺激による筋腱伸張性増大や関節柔軟性増大に関する見解は得られているものの,寒冷環境下での筋腱伸張性や関節柔軟性に関する見解はまだあまり得られていない.そこで今年度は,常温および寒冷環境における足関節底屈筋の筋腱伸張性と関節柔軟性への影響を調べた.健常若年男性を対象として,筋腱柔軟性の評価指標として筋腱スティフネス,関節柔軟性の指標として足関節背屈可動域の変化を調べた.環境温は,常温環境25度,寒冷環境は10度に設定し,被験者には環境馴化のために30分間安静にさせた後に筋腱伸張性と関節柔軟性を調べた。結果,筋腱スティフネスは常温環境と比して寒冷環境暴露で有意に高い値を示した.一方で足関節背屈可動域に関しては,常温および寒冷環境間で差は認められなかった.以上のことから,寒冷環境暴露により筋腱伸張性の低下が示唆される結果となった.昨年度のアイシングによる局所寒冷刺激では足関節底屈筋の筋腱伸張性および関節可動域に変化がみられなかった結果と異なる興味深い研究結果であった.今年度の研究成果を踏まえ,寒冷環境では筋腱伸張性低下を考慮した適切な運動指導や,リハビリテーション方策を考慮する必要性を有する知見が得られた.次年度はこれらの課題解決に向けて,寒冷環境での至適ストレッチングプログラム構築に取り組んでいく予定である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度予定していた研究課題は終了し,寒冷環境による筋腱伸張性の低下を明らかにすることができた.今回超音波による筋腱構造への変化も合わせて評価しており,解析を続けている.この解析結果を今後統合解釈し,研究成果発表を予定している.
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今後の研究の推進方策 |
先行研究や我々の研究成果から,これまでストレッチングによるスティフネス低下は示されている.今年度の研究結果より,寒冷環境下では筋腱伸張性が低下がみられたことから,寒冷環境によるストレッチング運動の筋腱伸張性への影響を調べ,環境に応じたストレッチング方法考慮の必要性を示していきたい.
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次年度使用額が生じた理由 |
年度末に実施した実験の被験者謝金が使用額に反映されておらず,次年度使用額で拠出予定である.次年度は,寒冷環境下での実験協力者を効率的な獲得のため,被験者への謝金が必要である.また,学会での成果発表の旅費,論文投稿のために使用する予定である.
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