研究課題/領域番号 |
16K01647
|
研究機関 | 岩手大学 |
研究代表者 |
明石 卓也 岩手大学, 理工学部, 准教授 (50403655)
|
研究分担者 |
張 潮 福井大学, 学術研究院工学系部門, 助教 (70803419)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
キーワード | スポーツ科学 / 3次元人物姿勢推定 |
研究実績の概要 |
モーションキャプチャや運動解析などの技術に応用や,既存の多くの姿勢推定手法における3Dポーズの推定精度の向上を念頭に,本研究では人物の姿勢推定の研究に取り組んでいる.また,複雑となるデータ処理をパラメータで表し,行動解析や行動推定システムそのものを最適化を考慮しており,最終的に扱うデータとして,シンプルなマルチメディアデータで構成されるビッグデータとする. そのため,昨年度は,3D人物姿勢のスケルトンを用いた人間姿勢の検索および,2Dランドマークからの3D人物姿勢推定における奥行き曖昧さと呼ばれる問題を解決に取り組んだ. さらに今年度では,追跡対象の位置の変化が大きいケースに対して追跡性能の向上を図るため,新しい前処理を提案した.この手法では,主としてオプティカルフローを用いた探索領域補正を行う.既存手法との比較によって,追跡対象の位置変化にロバストな物体追跡が可能であることが分かった.さらに,多様性の維持を重視した最適化アルゴリズムの改良手法を提案した.この手法では,交叉のように他個体の影響を受けず,各個体の適応度に応じて効率的な探索が行える.既存手法では局所解による誤検出が頻発するのに対して,提案手法では多様性を維持した局所解に頑健な解探索が可能で優れていることが分かった. また,昨年度は3Dポーズの推定姿勢を補正する手法を提案したが,今年度は,その前段階である,2Dから3Dの姿勢推定に取り組んだ.具体的には最適化技術を用いて3Dテンプレートを最適化する手法である.結果として,推定精度が向上した. これらの研究の成果について,国内会議において3件発表しており,ジャーナル論文へ1件投稿中である.以上が今年度行った本研究についての報告である.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成29年度では,連続するフレーム画像において人物を含む追跡対象の位置変化が大きい場合に対して頑健に追跡するために,追跡対象の位置変化によるオプティカルフローを用いた探索領域補正を行う前処理を提案した.大きな動きによりモーションブラーが生じるため,その度合いと傾向からオプティカルフローを補正する必要がある.比較実験では,提案する前処理を導入することで従来手法より追跡対象の位置変化にロバストな物体追跡が可能であることが示され,人物姿勢推定の前処理として応用することも可能であることがわかった.また,多様性の維持を重視した新たな最適化手法probabilistic bit-wise operation (PBO)を提案した.改良された最適化アルゴリズムでは,下記の特色がある:1)各個体の適応度に応じて探索範囲を確率的に調整することで効率的な解探索が行える.2)各個体の変化は独立で行われるため,交叉のように別個体の影響を受けることなく多様性を維持しながら探索を行うことができる.3)遺伝子操作の対象となる個体の割合を世代に応じて変化させることで,個体群の成長に合わせながら解を収束させることができる.さらに,3Dポーズの推定の前段階である,遺伝的アルゴリズムを用いた3次元テンプレートの最適化手法を提案した.結果として,推定精度が向上した.
|
今後の研究の推進方策 |
主として,人物を含む追跡のロバスト性の向上に取り組んだ.また,多様性を重視した新たな最適化手法を提案した.今後は,人物の追跡領域のみに対して人物姿勢推定をすることにより,大幅に計算量を減らすことが可能であるため,システム全体の前処理として追跡機能の導入を検討する.これまで使用していた最適化アルゴリズムprobabilistic bit-wise operationの代わりに,probabilistic bit-wise operation (PBO)の有用性を検討する. 今後は,これらの手法の導入・組み合わせを検討し,研究の締めくくりとして,実験・検証においても質の向上や研究スピードを向上させ,推進し,ジャーナル論文や国際会議において発表していく予定である.
|
次年度使用額が生じた理由 |
平成30年度では,必要な物品や前年度で購入しなかった消耗品の購入や,投稿中のジャーナル論文の投稿費用に使用する予定である.また,以下の使用を計画している.調査研究旅費として,関東もしくは西日本方面における調査・研究を兼ねた成果発表(3日間×4,40万円),欧米もしくはアジア地域における国際会議での調査・研究を兼ねた成果発表(5日間×1回,30万円)を予定している.また,大容量ハードディスク(1台,9万円)などの購入を予定している.研究補助の人件費として大学院生(1名以上)に対して研究協力謝金を支出する予定である.また,必要に応じて,屋外におけるデータ収集,オンライン実験のため,ノートパソコンもしくはカメラ(1台以上,20万円以上)の購入を予定している.万一不足の場合は,他の研究費によって補填する予定である.
|