研究課題
スキー競技において,ワックスおよびストラクチャは勝敗を決める最重要要素である.これらの滑走性能は雪面状態や気象条件に大きく左右されるため,競技時に競技コースの雪面状態や気象条件に最も適合するワックスやストラクチャを選択することが最高の滑りを実現するために極めて重要である.そこで本研究では,ワックスおよびストラクチャを性能評価するための高精度GPS装置を開発した.このGPS装置は測位精度3cm以下,寸法18.5mm×38.5mm×78.5mm,重さ64gである.後処理キネマティック測位方式により小型・軽量化を実現した.このGPS装置はアンテナ,バッテリー,ロガー等を内蔵しており,他の外付け部品を必要とせず単体で高精度測位が可能である.このGPS装置をスキー滑走者の後頭部に装着し,雪斜面を直滑降した時の三次元軌跡と速度をcm精度で計測した.様々な種類のワックスやストラクチャを施したクロスカントリースキー板を用意し,様々な雪面状態および気象条件の下でそれぞれのスキー板の三次元軌跡と速度を計測した.摩擦係数の推定はエネルギー保存の法則を用いた.力学的エネルギー(運動エネルギーと位置エネルギーの和)は滑走中徐々に減少するが,これは摩擦抵抗および空気抵抗によるエネルギー損失であり,そこから摩擦係数を推定した.本手法により,摩擦係数が0.001の確度で計測できることを確認した.ワックスやストラクチャの滑走性能は雪面状態や気象条件に大きく依存する.そのため,競技コースの雪面状態(雪質,雪温,含水率,比重,硬度)および計測時の気象条件(気温,湿度,風速,日照)を摩擦係数と関連付けてデータベース化した.また,与えられた雪面状態および気象条件を元に最適なワックスおよびストラクチャを選定する最適選定アルゴリズムを開発した.これにより,最適なワックスおよびストラクチャを選定するための基礎を構築した.
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すべて 国際共同研究 (3件) 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 3件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (11件) (うち国際学会 4件、 招待講演 2件) 備考 (1件) 産業財産権 (1件) (うち外国 1件)
Medicine & Science in Sports & Exercise
巻: 51 ページ: 760~772
10.1249/MSS.0000000000001840
日本機械学会スポーツ工学・ヒューマンダイナミクス2018講演論文集
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http://www.aki.che.tohoku.ac.jp/