研究課題/領域番号 |
16K01650
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
内山 治樹 筑波大学, 体育系, 教授 (00168717)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 感性 / 競技者 / チーム / コーチ / 身体性 / 知性 / バスケットボール |
研究実績の概要 |
本研究は,競技力を構成する契機の一つでありながら,他の二つの契機,すなわち,身体性と知性を統御する上で重要な役割を果たしている「価値判断にかかわる能力」である「感性」に着目し,他と比して最も複雑な特性を有するバスケットボールを対象に,競技力の製作者として未だ解明がなされていないチームとコーチの価値判断の基準と規範的原理の抉出を試みることで,競技者,チーム,コーチの相互作用から成るチームの戦い方に,恒常的な客観的妥当性を与え得る「実践上の指針」を究明することを目的としたものである. この目的を達成するために,初年度のH28年度では,日・独・米のチームスポーツやバスケットボールならびに感性に言及している文献を改めて収集し,それらの精読を通じて「チームにおける感性」の内実を分類・整理・分析することで概念化ないし定式化を図り,その成果を口頭もしくは紙上にて発表する予定であった. しかしながら,今年度は上記「チームにおける感性」の内実そのものの究明を深化するためでなく,それを基礎付ける,あるいは,その外延的な事項であるバスケットボール競技の分析に時間を費やすこととなり,そのための学会誌掲載(例えば,「バスケットボール競技におけるフローター・シュートのメカニズムと有用性に関する研究」(共著・体育学研究)「バスケットボールにおけるコオーディネーション・トレーニングの検証」(共著・いばらき健康・スポーツ科学)や学会発表(例えば,「バスケットボールにおける“Collectove Efficacy for Defence尺度の開発と有効性の検討」(日本体育学会)「バスケットボール競技における速攻成立のための条件の検討」(日本コーチング学会)”が主となるに至った.それは,独語圏の文献の精読に時間がかかったことにも起因している.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
バスケットボールの競技力を規定する「スポーツ構造」を構成する上で最も重要な価値判断における基準としてシステムを構成する「感性」という契機を,「価値判断にかかわる能力」として規定した「感性」について,それは個々の競技者だけでなくチームにおいても存在し,さらに,それは,競技力の構成契機である身体性および知性と相互に連関することにより,チームのパフォーマンスを決定づける重要な役割を担っている,という観点のもと,「チームとして普遍妥当な価値判断の基準と規範的原理」の究明に時間がかかっている. その「チームにおける感性」を分析・考察するために,体育・スポーツ科学の研究領域以外のプロパーな学的領域,たとえば,哲学,それも独語圏における文献の精読に時間を費やしたため.
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今後の研究の推進方策 |
バスケットボール競技にかかわる平成28年度の研究成果を踏まえて,今後は「チームとして普遍妥当な価値判断の基準と規範的原理」の究明に向けて,土台となる「感性」ならびに「チーム」という重要な概念について,さらに分析していく予定である. そして,その成果を学会での口頭発表や学会誌への投稿につなげていきたい.
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次年度使用額が生じた理由 |
初年度のH28年度では,日・独・米のチームスポーツやバスケットボールならびに感性に言及している文献を改めて収集し,それらの精読を通じて「チームにおける感性」の内実を分類・整理・分析することで概念化ないし定式化を図り,その成果を口頭もしくは紙上にて発表する予定であった. しかしながら,「チームにおける感性」の内実そのものの究明を深化するためでなく,それを基礎付ける,あるいは,その外延的な事項であるバスケットボール競技の分析に時間を費やすこととなり,そのための学会誌掲載や学会発表まで至らなかったため.
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次年度使用額の使用計画 |
平成29年度は,平成28年度にまとめ切れなかった「チーム」にかかわる「価値判断の基準」と「規範的原理」の整理・分析を行い,その成果を学会等で口頭発表ないし紙上発表を実施する.併せて,当初の予定であった「コーチ」についての「価値判断の基準」と「規範的原理」の究明も実施し,学会等でその成果について発表する.そのための費用として使用する予定である.
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