研究実績の概要 |
平成29年度は青年期及び成人期指導者データの収集・蓄積・分析を引き続き行った。昨年度と同様、データ数が偏った場合の対処方法についての検討も行った。その手法は例えば実際のサンプリングデータが200個の場合にそこからランダムに200個を抽出し平均値を算出し元の200個の平均値と比較する統計的手法、モンテカルロ法のひとつサロゲート法である(50,000回のシミュレーション試行)。またデータの感度と特異性を検証するためROC曲線(Receiver Operating Characteristics Curve)分析のAUC(Area Under the Curve)を算出して分析しデータの信頼性向上のための手法も試行した。これらの手法については年度内に国際誌に掲載された(Sasaki,et al, Network centrality analysis to determine the tactical leader of a sports team. International Journal of Performance Analysis in Sport,17(6), 822-831,2017.11.20) またデータ収集方法として紙ベースではなくパット式画面を用いる手法についても試行している。近年多用され始めているフリーウエッブ調査手法(端末で回答したものを調査者サーバーに送信し自動集計される)の導入からデータ収集効率の向上を企図しているが収集プロセスとの結合性が課題である。2015年に発表した関連論文「Proud Lonely Athlete」で議論した、「競技者・指導者は社会的コミットメントによって孤高の戦いに挑む誇りを有している」という考察の深耕を図ることを重要課題としているが、そこに社会的な供応性、凝集性の真因を探るべきと考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
データ収集手法の開発(フリーウエッブ調査による自動集計)、および解析手法の開発(ブートストラップ法、AUC(Area Under the Curve)段階において、当初考えていた以上の進展がみられ。社会経営領域のみならず広くスポーツ科学領域での論文掲載が達成されている。(Koh Sasaki, et al, Network centrality analysis to determine the tactical leader of a sports team. International Journal of Performance Analysis in Sport,17(6), 822-831,2017.11.20. 佐々木康,,他,ラグビー15人制パフォーマンス分析:主に防御構造. バイオメカニクス研究, 21(1),19-24)近年盛んになりつつあるビッグデータ分析での有用拡大が考えられる。加えて個人データの取扱い、研究倫理についてより慎重かつ厳格に行うことも十二分に認識を高めている。
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