研究課題/領域番号 |
16K01662
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研究機関 | 高知大学 |
研究代表者 |
川本 真浩 高知大学, 教育研究部人文社会科学系人文社会科学部門, 准教授 (20314338)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | スポーツ史 / ナショナリズム / 帝国史 / 地域主義 / 国際関係 |
研究実績の概要 |
1年間を通して、近現代イギリス史・帝国=コモンウェルス史、近代スポーツ史、オーストラリア史、ニュージーランド史、カナダ史などに関わる研究文献を渉猟した。また、オンラインで検索できるオーストラリア及びニュージーランドの新聞データベースを用いて研究課題に関連する記事を引き続き渉猟した。 地域社会に根差した娯楽のひとつでありかつエンパイア・ゲームズ/コモンウェルス・ゲームズでの実施競技であるという点で、地域と帝国=コモンウェルスを結びつけるスポーツ文化の好例であるローンボウルズの来歴にかかる論稿を執筆した。同論稿は8月に発行された学会誌『海南史学』に掲載された。 3月中旬には国内外で史資料調査を実施した。国内は、大阪体育大学図書館で最新の研究成果を入手するための文献調査をおこなった。国外の訪問先はカーディフとロンドンである。カーディフでは、キャセイズ図書館が所蔵する第6回大会(1958年)に関係する史資料を渉猟するとともに、同大会会場となった自転車競技場とカーディフ・ボウリング・クラブでの調査もおこなった。とくにキャセイズ図書館の所蔵史資料の多くは他所では入手できない史料であり、本研究を遂行する上で重要な情報を得られた。帰国後、それら文献の整理作業に着手した。 年度末には、翌年度4月初めにおこなうオーストラリアでの史資料調査の準備を進めた。そこでは、1940年代から50年代にかけて開催された大会と比較する観点から、第12回大会(1982年)を調査対象に加えることが有用であると考え、同大会に関する史資料を所蔵しているクイーンズランド州立図書館(ブリスベーン)での調査をおこなう予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
全般的な研究進捗状況について、当初の計画とさほど大きなズレはないものの、史料調査の部分に関して若干の遅れが生じている。 前年度にニュージーランド国立図書館ウェリントン館での史料調査が予定どおりに実施できなかったことに起因する遅れに対して、研究全体の構成組み直しやイギリスやオーストラリアでの調査を拡充させることで対応しようと試みた。しかし、新聞記事データベースなど史資料の状況から現地調査に置き換えて補える部分は確認できたものの、今年度も所属機関での他業務に割かれる時間が当初の想定よりもいささか多くなったことなどによって、じゅうぶんな日程を確保してイギリスでの調査を実施することができなかった。 なお、こうした遅れは本研究全体の次年度における終了を大きく妨げるほどのものではないと考える。
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今後の研究の推進方策 |
平成30年度は基本的には申請時の計画に従いつつ、前年度の遅れを取り戻すべく、本研究を進める。作業の中核となるのは、これまでの史資料収集とそれに基づく分析・考察をまとめるための作業とその不足分の確認である。昨年度までに、エンパイアゲームズ/コモンウェルス・ゲームズの第2回大会(ロンドン)、第4回大会(クライストチャーチ)、第6回大会(カーディフ)、そしてそれらとの比較対象素材としての第12回大会(ブリスベーン)に関する史資料を収集・整理してきた。今年度前半は、これらの大会について、引き続き本研究テーマにかかる論点にそって本格的な考察を進める。そのうえで、昨年度から繰り越した未使用額も加えて、作業を補完するために海外での追加史資料調査をおこなう。8月下旬にニュージーランドを訪問し国立図書館において史資料の渉猟をおこなう(6泊7日の予定)。あわせて国内での資料調査は、大阪及び神戸の大学図書館を訪問する(2泊3日の予定)。 年度後半はもっぱら研究テーマ全体のとりまとめを進め、年度末までに学会誌ないし研究紀要に投稿するための論稿あるいは研究会ないし学会での報告原稿を執筆し、完成させる。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由)「現在までの進捗状況」欄に記したとおり、平成28年度のニュージーランドでの史資料調査および国内での資料調査が予定どおりの内容でおこなえなかったことを補うべく平成29年度に計画した史資料調査が予定どおりに実施できなかったため。 (使用計画)引き続き関連文献の渉猟を進めながら、平成30年8月にニュージーランドでふたたび史資料調査を実施することにより、当初の想定にそった史資料を確実に入手する。研究の進展状況を随時チェックしながら、国内での資料調査で補完できることも明確化し、研究を確実に推し進める。そのようにして、ニュージーランド、オーストラリア、イギリスを中心とした比較・分析・考察をてがけるための材料をそろえ、年度後半の研究とりまとめに備える。
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