研究課題/領域番号 |
16K01665
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研究機関 | 兵庫県立大学 |
研究代表者 |
田路 秀樹 兵庫県立大学, 環境人間学部, 教授 (50118014)
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研究分担者 |
福田 厚治 兵庫県立大学, 環境人間学部, 准教授 (60647650)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 等速性運動 / 収縮速度 / 最大トルク / パワー / 筋電図 / 筋断面積 |
研究実績の概要 |
本研究は筋出力向上のために等速性運動を用いた複合トレーニング法による至適負荷を開発することを目的としている。28年度は、①単一群(G180):角速度180°/sを15回反復を1日2セット、②複合群 (G60+180+300):角速度60°/sを3回、180°/sを5回、300°/sを15回反復を1日2セットの2群を設定し、両群に週3日8週間実施した。トレーニング効果を検討するため、トレーニング前後に、60°/s、180°/s、300°/sの最大トルク値、最大トルク発揮時に大腿直筋からEMGを測定した。また、身体的特徴として身長、体重、体脂肪率、除脂肪体重および大腿四頭筋全面遠位50%の部位の筋厚を超音波画像法により測定した。その結果、次のような結果が得られた。 1.大腿囲は、単一群にのみ有意に増加し、増加率も単一群が有意に高かった。2.筋厚は、両群間ともに有意な増加はみられなかった。3.皮脂厚は、複合群にのみ有意に減少した。4.筋厚から推定した筋断面積は、複合群、単一群ともに有意な増加がみられ、その増加率には両群間に有意 差は見られなかった。5.除脂肪大腿囲は、複合群、単一群ともに有意な増加を示したが、両群間の増加率に有意な差は見られなかった。6.最大トルク値は、複合群におい60°/s、180°/sともに5%水準の、300°/sは1%水準の有意な増加がみられた。単一群においては60°/s、180°/s、300°/s全ての角速度において1%水準の有意な増加であった。7.単位断面積当たりの最大トルク値は、単一群にのみ180°/s、300°/sにおいて有意な増加を示した。8.筋積分値は、両群共に全ての角速度において有意に増加した。 現時点では、全ての角速度を複合させる複合トレーニングと180°/sでの単一トレーニングの効果は同等であると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
28年度4月-9月に予備実験を実施し、9月に男性被験者を確定した。その後、10月-12月にトレーニングを実施した。トレーニング前後において、①身長、②体重、③体脂肪率、④除脂肪体重、⑤大腿部前面筋厚の形態測定を実施した。また、等速性筋力として①60°/s、②180°/s、③300°/sの最大トルク値を計測するとともに、最大トルク発揮時に大腿四頭筋から表面筋電図法によりEMGの計測を実施した。 分析として、筋厚より筋を断面積を推定し、筋断面積当たりの最大トルク値を算出した。現時点では、2グループの群間の比較は対応のないt検定により、トレーニング効果については対応のあるt検定により比較検討した。なお、EMG値については単位時間当たりのEMG(mEMG)を算出し、トレーニング前後の効果を検討した。 測定、トレーニングの補助についても、補助学生を指導し、曜日ごとに担当者を決め、必ずトレーニングを実施する際には補助差をつけて実施することができた。 以上のように、すべて申請の計画通り実施し、研究は順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
29年度は男性被験者を4月初旬に決定する。5月連休明けから、③複合群(G60+180):角速度60°/sを4回、180°/sを8回反復を1日2セット、④複合群(G180+300):角速度180°/sを8回、300°/sを22回反復を1日2セットの2群を設定し、両群に週3日8週間トレーニングを実施する。トレーニング前(4月)・後(7月)の測定項目は、28年度と同様に、①身長、②体重、③体脂肪率、④除脂肪体重、⑤大腿部前面筋厚の形態測定、等速性筋力として①60°/s、②180°/s、③300°/sの最大トルク値、最大トルク発揮時に大腿四頭筋から表面筋電図法によりEMGを計測する。その後、28年度の、①単一群(G180)、②複合群 (G60+180+300の測定結果と合わせて、4群間のトレーニング効果の比較を分散分析法により統計処理を行う。 10月からは、女性を被験者として、28年度と同様に、①単一群(G180):角速度180°/sを15回反復を1日2セット、②複合群 (G60+180+300):角速度60°/sを3回、180°/sを5回、300°/sを15回反復を1日2セットの2群を設定し、両群に週3日8週間のトレーニングを実施する。被験者は7月に応募し9月には決定する。トレーニング前後の測定は形態を含め、男性と同一の項目、①身長、②体重、③体脂肪率、④除脂肪体重、⑤大腿部前面筋厚の形態測定、等速性筋力として①60°/s、②180°/s、③300°/sの最大トルク値、最大トルク発揮時に大腿四頭筋から表面筋電図法によりEMGの測定とする。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定通り、システムの入れ替え、パソコンの購入等に物品購入費を使用した。また、トレーニングを実施するうえで人件費・謝金を予定通り使用し、2学会への参加のために旅費を、その他で学会参加費を使用しほぼ計画通り予算を執行した。しかし、物品購入費の内消耗品費で当初予定した見積もりより安く購入することができ最終的に63円の次年度使用額が生じてしまった。
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次年度使用額の使用計画 |
29年度は男性を対象としたトレーニングと女性を対象としたトレーニングを実施するため人件費・謝金として800,000円を予定している。また、物品購費としての250,000円は男性のトレーニング実験が終了するため、データ整理を実施するうえでソフト等の購入を予定している。さらに、次年度は3学会への参加を予定しており旅費として100,000円、その他の50,000円は参加費として使用する予定である。なお、本年度使用できなかった63円は物品購入に加算して使用する。
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