研究課題/領域番号 |
16K01666
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研究機関 | 県立広島大学 |
研究代表者 |
楠堀 誠司 県立広島大学, 生命環境学部, 准教授 (10513856)
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研究分担者 |
関矢 寛史 広島大学, 総合科学研究科, 教授 (40281159)
吉田 和人 静岡大学, 教育学部, 教授 (80191576)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 卓球 / ボール回転 / インパクト現象 / ショット軌跡 |
研究実績の概要 |
本年度は,まずナックイメージテクノロジー社製高速度カメラMEMRECAM Q1vを購入するために,実際の実験環境に近い状況での撮影を行い,カメラの性能を確認した上で購入を決定した. その後,卓球ボールの回転計測のためのマーカーの記入方法を検討し,最終的には極細ペンマーカーによる点記入に決定した.日本卓球協会関係者やコーチなどから用具の特性について議論を行い,卓球ボールやラバーによって,打球そのものがかなり異なること,現在はプラスチック製ボールが使われているが選手・コーチ間ではかなり不評であることなどを確認した.卓球にとって必要なボールそのものがどのようなものであるかがまだ追求されていないのではないかという考えに至った. これらのことを考慮して実験計画を再検討し,撮影にあたっては,高速度カメラは打球位置に対して横方向から撮影することに決定し,また横60cm,高さ35cm以内の範囲で撮影することに決定した.ボールにはマーカーを20個点を書き入れた.ボールは未使用で厳重に管理されたセルロイド製ボール1種類,プラスチック製ボール4種類を使うことにした.また,ショット軌跡を3次元分析するため,2台の民生用カメラ(300Hz)を同期するための無線LED発光体を自作した. 当初被験者には,6種類,バックハンドでは1種類,サービスでは3種類のショットを打球してもらう計画であったが,ボール送球装置の調整や,LANケーブルを通じてHDD内に保存する時間が予備実験の段階で相当かかることを把握していたが,大幅に予定を上回ることになることが分かったので,急遽フォアハンド・パワードライブ,対下回転ドライブ,ナックルの撮影に変更した.一部選手にはチキータ打法も行ってもらった.選手の引退,当日の体調不良者などがいたことから被験者数は6名となったが,分析に必要なデータを撮ることができた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2016年9月下旬に事故のため長期に渡って休職を余儀なくされ,本来ならばデータ収集は2017年の夏期までに行うはずであったが,半年以上撮影が遅れ,結果として分析にまだ至っていないため,遅れていると判断した.
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今後の研究の推進方策 |
まずは卓球の各種打法について,インパクト現象の基礎的データの計測を行う.インパクト時間,インパクト時間内でのボールの移動距離,等を明らかにする. その後,ラバーの反発特性とボール速度との関係などを明らかにする.これらを進めた後に,ショット軌跡の3次元分析を行い,インパクト現象との関連について検討するために,ボールの回転軸,回転数などを計測し,シミュレーション結果と実際のショット軌跡との比較を行うことを目指す.
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次年度使用額が生じた理由 |
実質的に研究が1年遅れていること,超高速度カメラの購入,実験(撮影)が遅れ,データ保存のためのHDD等の物品購入が間に合わなかったことなどがあげられる.また,当初予定していたラケット等の購入についても,試算時よりも予算を必要としなかったことがあげられる. 予備実験などからデータ保存料がかなり膨大になることが分かっていたが,現有のHDDでまにあうかと予想していたが,予想以上にデータ量が多いことが分かった.また,分析に必要なスペックに対応したPC・ソフトウェアが無いため,分析に必要なファイル変換などに相当な時間を要している.次年度は,データ保存に必要なHDD,ファイル変換に必要なソフト緒ウェアの購入など,データ処理に必要な物品の購入に充て,速やかに分析に入ることができるようにする.
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