研究課題/領域番号 |
16K01671
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研究機関 | 芝浦工業大学 |
研究代表者 |
江間 諒一 芝浦工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 研究員 (10768196)
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研究分担者 |
赤木 亮太 芝浦工業大学, システム理工学部, 助教 (20581458)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 二関節筋 / 大腿直筋瞬発的な筋力 / 筋損傷 |
研究実績の概要 |
「研究目的」 二関節筋は、近位と遠位の二つの関節を跨いで骨に付着しており、その機能の向上は運動、スポーツパフォーマンスにとって重要である。その一方で、二関節筋は怪我の発生頻度が高いため、活動量を高めることが、かえって怪我の発生につながる恐れがある。本研究では、身体運動パフォーマンスを高めつつ、怪我の発生を予防する運動プログラム作成のための基盤を確立することを目的としている。本年度は、二関節筋の活動における関節動作特異性をもたらす要因について検討すること(目的1)、および筋損傷をもたらす運動課題を調べること(目的2)を目的として研究を行った。 「研究方法」 第1の目的を達成するために、等尺性の条件下において、被験者に、できるだけ速く膝関節を伸展させる試行とできるだけ速く股関節を屈曲させる試行を行わせた。力発揮時における大腿直筋(膝関節と股関節を跨ぐ二関節筋)の筋活動量を表面筋電図により記録し、関節動作間で比較した。第2の目的について、全力での伸張性膝関節伸展運動を150回実施した。筋力の測定に加えて、超音波診断装置を用いて、大腿直筋の筋輝度および筋硬度を定量した。運動翌日、2日後および6日後において同様の評価を行った。 「研究成果」 第1の目的に関して、力を発揮した直後では関節動作間で大腿直筋の筋活動量に差がなく、力発揮後半になるにつれて膝関節伸展時のものが股関節屈曲時のものよりも大きくなった。この結果は、大腿直筋の筋線維動員パタンに関節動作間差がある可能性を示唆する。第2の目的について、運動課題翌日に筋力は運動課題前よりも43%低下し、6日後の時点でも30%以上の低下が観察された。また、大腿直筋の筋輝度、筋硬度の変化が部位によって異なる傾向が観察された。これは、伸張性運動による筋損傷の発生は、同一筋内で不均一である可能性を示す結果である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
目的1の達成のために、さらなる実験を計画していた。しかし、重要なポイントになると考えていたデータが、取得および定量が困難であることが判明し、計画の一部変更を余儀なくされた。また、目的2に関して、複数の運動課題を実施し、比較検討する予定であったが、実験機材の使用状況等の関係で、1種類の運動課題しか行うことができなかった。以上の点により、研究の進捗に若干の遅れが生じている。
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今後の研究の推進方策 |
本年度実施した研究結果をもとに、大掛かりな介入実験を行う予定である。本研究は国際共同研究へ発展させるものであることから、早急に海外研究者と研究の詳細を議論する予定である。また、本年度の成果を学術論文および学会発表できるように尽力する。
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次年度使用額が生じた理由 |
計画していた実験手法に変更の必要性が生じ、機材購入費および人件費に充当予定であった額を本年度使用する段階に至らなかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
現在は研究計画の方向性を修正しているので、実験に必要な機材および人件費の支払いとして使用する予定である。
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