研究課題/領域番号 |
16K01672
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研究機関 | 高千穂大学 |
研究代表者 |
新井 健之 高千穂大学, 人間科学部, 教授 (20397095)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 視覚トレーニング / 注意配分 / 錯覚 / 運動予測 / 運動錯覚 / ゴルフパッティング / 距離感 / 見越距離短縮錯覚 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,対象物への注意配分により変化する運動予測特性を考慮した視覚トレーニングの開発である.それにより,飛躍的な視覚トレーニング効果の向上が期待できる.報告者は,今まで対象物への注意配分により,物体の運動認知・予測が変化する可能性を示唆している.しかし,視覚トレーニングの開発には,情報が不十分であり,本研究期間内で,有効視野内・空間表象内・自己運動・実際のスポーツ場面の4点の運動予測特性の検討を行い,視覚トレーニングの開発につなげる計画である. 平成28年度は,空間表象内(ゴルフパッティングにおける距離感:打球後のボールの運動予測)での運動予測特性の検討を行った.実験の結果,被験者に対し,ゴルフボールに対する注意配分を減少させると,ゴルフパッティングの距離感が有意に減少した(初心者p<0.001,経験者p<0.05).そして,ゴルフ経験による距離感の減少率に,有意な改善が認められた(p<0.01).これらの結果は,視覚トレーニングによる距離感短縮錯覚の改善の可能性を示唆しており,第29回ゴルフ学会において報告を行った.今後は,被験者のゴルフ経験値の幅を拡大し,経験による距離感短縮錯覚の改善メカニズムを検討することにより,視覚トレーニング開発に発展させる計画である. そして,VR(バーチェルリアリティ)環境における物体の運動予測特性の検討も行った.実験の結果,運動物体消失後の移動距離の短縮錯覚である見越距離短縮錯覚を,相殺する方向の錯覚であるRM(表象的慣性)が,同時に起こっている可能性が示唆され,日本体育学会第67回大会にて報告を行った. また,関東大学テニス研究会,大学スキー研究会,スノーボード研究会などに参加し,他の研究者とのディスカッションや予備実験を行い,有効視野内や自己運動における実験方法について有効な情報を得ることが出来た.今後はさらなる検討を進めたい.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究の最終目的である,対象物への注意配分により変化する運動予測特性を考慮した視覚トレーニングの開発には,物体の運動予測特性の解明が必要不可欠である.本研究期間内で行う予定である,有効視野内・空間表象内・自己運動・実際のスポーツ場面の4点の運動予測特性の検討の中で,空間表象内での実験は計画通りに進んでいるが,特に自己運動の場面の実験統制が難しく,計画以上に時間がかかっている.全体としては,トレーニング開発につなげるためには,さらなる検討が必要となり,やや遅れていると判断した.
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今後の研究の推進方策 |
本研究の最終目的である,対象物への注意配分により変化する運動予測特性を考慮した視覚トレーニングの開発には,物体の運動予測特性の解明が必要不可欠であり,視覚トレーニングの開発に着手するには,まだまだ情報が不十分である.そこで,視覚トレーニングの開発には本研究期間内で行う予定である,有効視野内・空間表象内・自己運動・実際のスポーツ場面の4点の運動予測特性の検討の中で,特に実験的検討が進んでいる空間表象内(ゴルフパッティングにおける距離感:打球後のボールの運動予測)での運動予測特性の検討に重点を置いて研究を進める. 空間表象内での運動予測特性検討実験では,今までの先行研究を支持する結果が得られており,経験による錯覚の改善が認められ,経験が錯覚の改善に影響を与えるメカニズムを検討することにより,より効率的な視覚トレーニングの開発に繋げられる可能性が示唆された.計画通り,他の3点も同時に運動予測特性の検討を行うが,空間表象内での運動予測特性の検討により重点を置いて,視覚トレーニング開発の足がかりにしたい.
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次年度使用額が生じた理由 |
年度末での研究会出張等の精算が間に合わず,次年度使用額が生じた.
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次年度使用額の使用計画 |
すでに,年度内で使い切っており,年度末での研究会出張等の精算終了後は0よりも小さくなる.
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