研究課題/領域番号 |
16K01672
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研究機関 | 高千穂大学 |
研究代表者 |
新井 健之 高千穂大学, 人間科学部, 教授 (20397095)
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研究分担者 |
田中 輝海 高千穂大学, 人間科学部, 助教 (90804196)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 視覚トレーニング / 注意配分 / 動作の自動化 / 運動予測 / 運動錯覚 / ゴルフパッティング / 距離感 / 見越距離短縮錯覚 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、対象物への注意配分により変化する運動予測特性を考慮した視覚トレーニングの開発である。それにより、飛躍的な視覚トレーニング効果の向上が期待できる。報告者は、今までの科研費補助による研究で、対象物への注意配分変化により、物体の運動認知・予測が変化する可能性を示唆している。しかし、視覚トレーニングの開発には、情報が不十分である。そこで、本研究期間内で、有効視野内・空間表象内・自己運動・実際のスポーツ場面の4点の運動予測特性の検討を行い、視覚トレーニングの開発につなげる計画である。 平成30年度は、報告者の癌闘病により研究期間の延長を行ったために、新たな研究成果としては少ない。しかし、新しく認知予測研究会を立ち上げ、科研費補助により第1回認知予測研究会を開催した。報告者は、今までの研究成果及び今後の展開について基調講演を行った。参加者の中からは、本研究の目的である視覚トレーニングの開発に必要な運動予測特性の検討を共同で研究することに賛同して頂ける研究者が数多く現れ、第69回日本体育学会にて2件、第73回日本体力医学会にて1件の研究発表を行った。3件の学会発表で報告者は、実験デザイン、データ解析、考察等に関わった。内容は、視覚トレーニングの開発に必要な運動予測特性の検討の中で、今まで検討事例の少ない、有効視野内における現実環境での運動予測特性の検討を行った。左から右へ眼前のレールを転がるパチンコ玉の動きを一部(0.2m、0.4m)もしくはすべて(0.6m)観察させ、その後のパチンコ玉の運動予測特性を検討した。 また、関東大学テニス研究会、大学スキー研究会などに参加し、他の研究者とのディスカッションや予備実験を行い、有効視野内や自己運動における実験方法について有効な情報を得ることが出来た。今後はさらなる検討を進めたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究の最終目的である、対象物への注意配分により変化する運動予測特性を考慮した視覚トレーニングの開発には、物体の運動予測特性の解明が必要不可欠であり、本研究期間内で行う予定である、有効視野内・空間表象内・自己運動・実際のスポーツ場面の4点の運動予測特性の検討の中で、空間表象内での実験は計画通りに進んでいるが、特に自己運動・実際のスポーツ場面の実験統制が難しく、計画以上に時間がかかっている。自己運動では、スキーにおける不整地(コブ斜面)を用いた予備実験を行ったが、注意配分の影響は予想に反して認められなかった。しかし、自己動作の自動化による注意配分の必要性が少なくなり影響が出なかった可能性が考えられ、今後の新たな検討方針が得られた。今後は、自己動作の習熟による動作の自動化と注意の影響を検討することにより、新たな方向でも物体の運動予測特性を検討する。 また、認知予測研究会を立ち上げたことにより、本研究の目的に賛同し、共同で研究を進める研究者が増えた。このことは、今後の進捗状況にプラスの影響があると考えられる。 しかし、全体としては、トレーニング開発につなげるためには、さらなる検討が必要となり、やや遅れていると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の最終目的である、対象物への注意配分により変化する運動予測特性を考慮した視覚トレーニングの開発には、物体の運動予測特性の解明が必要不可欠であり、視覚トレーニングの開発に着手するには、まだまだ情報が不十分である。そこで、視覚トレーニングの開発には本研究期間内で行う予定であるが、有効視野内・空間表象内・自己運動・実際のスポーツ場面の4点の運動予測特性の検討の中で、特に実験的検討が進んでいる空間表象内(ゴルフパッティングにおける距離感:打球後のボールの運動予測)での運動予測特性の検討に重点を置いて研究を進める。 報告者の癌闘病により、研究が一時停滞し、研究期間延長に至ったが、認知予測研究会を立ち上げ、科研費補助により第1回研究会を開催したことにより、本研究の目的に賛同し共同で研究を進める研究者が増えたことは、今後の研究推進に良い影響があると考えられる。研究会のメンバーとは、現状で特に検討の進んでいない現実環境での運動予測特性について議論を行い、研究を進めている。また、スキーでの予備実験から、実際のスポーツ場面では、運動予測特性を検討するに当たり、動作の習熟による動作の自動化と、その動作に必要な注意配分について今後検討して行く必要性が得られ、今後の研究推進方策の重点になると考えられる。
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次年度使用額が生じた理由 |
報告者が癌闘病のために、一時研究活動が停滞し、研究期間を1年延長したため。
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