研究課題/領域番号 |
16K01673
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
大津 克哉 東海大学, 体育学部, 准教授 (70598094)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | スポーツと環境 / オリンピック・パラリンピックと持続可能性 / オリンピック教育 / 持続可能な開発目標(SDGs) / カーボンオフセット / 気候変動 / 環境啓発 / 文化・教育プログラム |
研究実績の概要 |
近年、国際オリンピック委員会(IOC)は、オリンピックの中長期改革計画である「Agenda 2020」に応じて、改革が進められている。オリンピック・ムーブメントのその最先端の実験的な改革は、2010年から始まったユース・オリンピック(YOG)において試みられていると言っても過言ではない。そこで、2018年度は、第3回夏季ユースオリンピック競技大会(Buenos Aires 2018)で行われていた、文化・教育プログラム「Athlete Education Programme(AEP)」について、会場の視察を通してその実際を調査した。さらに、YOG開幕に合わせて、同じくブエノスアイレスで世界各国のアスリートやスポーツ関係者、研究者、政府関係者などが一堂に会し、2日間の日程でオリンピック・ムーブメントの推進や、ドーピング、八百長問題などの不正撲滅、持続可能性への取り組みなど、昨今スポーツ界が抱える問題について議論された「Olympism in Action Forum」の内容を整理し、今後の日本のオリンピック・ムーブメントの展開に向けて、YOGが果たす役割や展望について明らかにすることができた。 特に、オリンピックのようなメガイベントは、影響を及ぼす範囲も広範囲、また長期間にも渡る。YOG開催も通常のオリンピックと同様に、イベント開催によるマイナス影響を出来るだけ少なくし、プラス効果を最大化していくことはオリンピックを取り巻く環境の面から見ても考えていかなければならない問題であることは必至である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
(1)6月:日本オリンピック委員会(JOC)主催の「JOCオリンピアン研修会」において、過去のオリンピック大会に参加経験のあるアスリート(オリンピアン)を対象とした研修会で講師を務め、各大会での環境対策について発表を行った。(2)10月:東京都世田谷区立赤堤小学校主催の「PTA研修会」において オリンピズムについての講義を行った。(3)11月:JOC主催の「第14回JOCスポーツと環境・地域セミナー」でパネリストを務めた。スポーツ界における地球環境保全の必要性について発表を行った。(4)3月:日本オリンピック・アカデミー(JOA)主催の「第200回記念 JOA特別コロキウム(東京)」において10月に視察した第3回夏季ユースオリンピック競技大会(ブエノスアイレス)で行われていた、「文化・教育プログラム(AEP)」の内容について総括した。
以上のように、2018年度は研究についてのアウトリーチが順調に進んでいるため、「順調な進展」と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
2019年度は、「体験活動」における「身体的体験」のモデルプログラムを作成・検証を行う。基本的に自然破壊や環境汚染を伴うものであるため、「スポーツの現場における環境保全」が必要であるし、スポーツ愛好家と呼ばれる人々は世界中に数十億人とおり、社会的影響力を持っていることから「スポーツを通じた環境問題の啓発」が必要とされる。最終的には、後者について「環境倫理」の視点をベースにした「スポーツと環境」のあり方について哲学的考察を試みる。主に「スポーツと地球環境問題」に関する教育的理論の検討については、文献研究を通して「身体運動」と「地球環境問題」との接点、その教育的意義を明確にする。
また、「第3回冬季ユースオリンピック大会(ローザンヌ)」の視察を通して、環境保護対策ならびに環境教育について情報収集調査を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
2018年10月のブエノスアイレスユースオリンピック大会視察に関する残金が発生した。この残金は2020年1月に開催される「第3回冬季ユースオリンピック大会(ローザンヌ)」での情報収集調査の旅費に充当する予定である。
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