本研究は,スポーツメンタルトレーニング(以下,SMT)とスポーツカウンセリング(以下,SpC)に注目し,両者の共通性や独自性を検討した.その結果,初回来談時における主訴の傾向では,両者の顕著な差異はみられなかったが,SMT中心の心理専門家は,困難事例におけるリファーの判断は早い傾向が示された.同一事例の検討においては,SMT中心の心理専門家は,選手の目標に基づいて,当面のサポート期間を具体的に設定する傾向がみられた.SpC中心の心理専門家は,主訴の背景となる心理的課題(主体性のなさ,自己コントロール感の欠如,自立・自律の獲得)に働きかける心理介入方針を見立て,長期間のかかわりを想定していた.
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