2018年度は2017年度に「野球経験者」において行った肩回旋運動の投球動作に与える影響を「全日本大学選手権上位入賞チームの現役選手」に適用して行った。 野球投手・野手の投球動作における棘下筋筋活動レベル等の肩回旋運動の実施による一過性の影響:20名の現役野球投手・野手を用い、1kgの錘による肩関節外旋および外旋運動15回×2セットを実施し、その直後に全力での投球を行った。肩関節外旋運動を事前に実施した場合、実施しなかった場合と比べて投球動作中の棘下筋の筋活動の平均値は投手においてのみ有意に変化した(-11%)。最大値は投手、野手ともに有意な変化は見られなかった。最大外旋角度は投手においてのみ有意な増大が見られた。また、棘下筋筋活動の出現は多くの選手で二峰性を示したが、投手の多くが一峰目に、野手の多くが二峰目にピーク値が観察された。 野球野手の投球動作における棘下筋筋活動レベルの肩回旋運動の実施による長期効果の検証:10名の現役野球野手を用い、1kgの錘による肩関節外旋運動15回×2セットを週6回×3週間実施し、運動介入期間前後に全力での投球を行った。肩関節外旋・内線運動の介入によって、介入期間前と比べて投球動作中の棘下筋の筋活動は最大値、平均値ともに有意な変化は見られなかった。棘下筋筋活動のピーク値出現時間は有意に前のタイミングへと移行した(肩関節最大外旋時刻+0.10秒→+0.03秒)。棘下筋の二峰性の筋活動のうち、二峰目から一峰目に多くの選手が移行していた。棘下筋の活動の様子としては投手的な活動に近づいたといえるかもしれない。 野球経験者における結果と異なり、現役野球選手においては、肩関節外旋運動による棘下筋の筋活動の変化は小さいものであった。現役の選手における筋活動パターンはある程度完成されたものであり、運動介入による影響を受けにくいのかもしれない。
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