研究実績の概要 |
前年度に引き続き、ダーツ課題を用いて非プレッシャー下とプレッシャー下での課題遂行前の的のサイズ知覚と、その後のパフォーマンスの関係を調べる第3実験に継続的に取り組んだ。全33名の実験参加者を対象とし、非プレッシャー下では課題遂行前に的を小さく知覚した試行においては課題の成功率が小さくなり、的を大きく知覚した試行においては課題の成功率が大きくなった。しかし、プレッシャー下ではこの傾向が消失し、プレッシャー下で的を小さく知覚した試行と大きく知覚した試行のパフォーマンスに差はなく、さらにはプレッシャー下で課題遂行前に的を小さく知覚した試行においては非プレッシャー下でのそれらの試行よりも成功率が高かった。これらの結果から、プレッシャー下において課題難度を高く感じる方向への知覚の歪みはプレッシャー下でのパフォーマンスの向上に貢献することもあり、プレッシャー下でのパフォーマンスに対しては知覚の歪みが機能的役割として働くことを提案した。この研究内容は、2019年7月に開催された15th European Congress of Sport & Exercise Psychology (Munster, Germany) で発表し、国際誌への投稿も終え、審査中である。その他にも実験4として、同様のダーツ課題を用いてポジティブ及びネガティブなセルフトークが的のサイズ知覚とパフォーマンスに及ぼす影響を調べる実験にも取り組んだ。
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