研究課題/領域番号 |
16K01690
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研究機関 | 長野工業高等専門学校 |
研究代表者 |
内山 了治 長野工業高等専門学校, 一般科, 教授 (00270257)
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研究分担者 |
芦田 和毅 長野工業高等専門学校, 電子情報工学科, 准教授 (70377612)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 競歩競技 / 陸上競技会運営のIT化 / 入力端末 / 920MHz帯通信 |
研究実績の概要 |
本研究では,陸上競技のトラック内競歩競技における歩型違反管理システムの開発を第一の目的としている.トラックの競歩競技では一般的に主任を含め6人の審判員がそれぞれの地点で判定を記録用紙に記入する.その用紙を「連絡員」が回収し,フィニッシュ地点の競歩審判主任が集計・確認後,告知板に反則を掲示している.そのため告知するまでに時間を要し,競技運営の効率も悪い.そこで,本研究では,審判員の判定を無線通信により競歩審判主任に伝達し,それらを自動的に集計・LEDパネルに表示できるシステムの構築を目指している.これらにより,競技中に周回する「連絡員」は不要となり競技役員数の削減と,トラック上の景観もすっきりするメリットもある. H28年度の成果は,計画どおり「入力システム」の開発を行った.これは審判員の専用用紙への手書きをIT化するものである.ここでは,入力端末の確定とその操作性が課題であり,ソフト面では競歩審判任務の理解と規則への合致,操作審判員の年代層や端末の扱い経験などへの配慮,ハード面では,OSの選定,入力方法(ペン,音声,手書き文字,端末入力など)の選択,端末の形状・大きさ・防水対策等にも配慮した.これらの成果については,第15回日本陸上競技学会他で発表した. さらに,安定した通信システムの開発を進め,通信方式を920MHz通信とした.これは,携帯電話に用いられる2.4GHz帯を利用したZigBee方式の場合には混線の問題があること,WiFi方式やBluetooth方式は通信距離やアクセスポイントに課題が残ることなどを考慮した結果である.さらに,920MHzの利点は通信距離が長く,電波が回り込みやすい特性を持っており,これまで開発したZigBee方式の通信より安定しており,この920MHz通信を利用できる端末と通信システムの開発が本研究の学術的な特色と独創的な点といえる.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
入力端末の選定に時間を要したが,実際に競歩審判員を担当する競技役員から様々な意見をいただき,同時に何回かに及ぶ提案と議論・評価を繰り返すことにより,ほぼ競技役員が現場で使用できる入力システムの開発ができた. これらのことから,ほぼ予定どおりに進行していると評価できる.
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今後の研究の推進方策 |
H29年度の計画は,受信端末の開発,違反集計システムと表示板への通信システムの開発がメインとなる.表示ボードについては,市販品を購入するため,価格低下のため極力購入時期を延ばす意向である. さらに,開発した歩型違反管理システムを利用し,近隣の長野市営陸上競技場等で行われる競歩競技での実証実験を繰り返し,これらの大会での活用と評価,改良をとおして,システムの調整を行いより質の高いものにステップアップさせ実用化を目指す.
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次年度使用額が生じた理由 |
当初予定していたLEDパネルは,民生品の安価なモニタを4個組み合わせる予定であったが,屋外では視認性が悪くほとんど文字等が識別されないことが分かった.そのため,輝度の高いモニタを購入することとしたが,予算の効率を考慮し,モニター購入時期を極力遅らせ,価格の低下を待つことにした.そのために,残金が予定を上回った.
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次年度使用額の使用計画 |
屋外で視認可能なLEDは輝度が2500カンデラ以上必要であり,50インチの画面で50万円近くするため,システムの完成間際まで時期を遅らせて購入することとした.実験的には屋内でできるため,既存のモニタで対応可能でありシステムの開発に問題は無い.
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