研究課題/領域番号 |
16K01700
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
小島 理永 大阪大学, 全学教育推進機構, 講師 (10369382)
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研究分担者 |
来田 宣幸 京都工芸繊維大学, 基盤科学系, 准教授 (50452371)
野村 照夫 京都工芸繊維大学, 基盤科学系, 教授 (60189438)
岩居 弘樹 大阪大学, 全学教育推進機構, 教授 (20213267)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | ダンス / ICT / 表現 / 遠隔授業 / 学習支援 |
研究実績の概要 |
本研究では,リズム系ダンスにおける表現について検討し,表現力を高めるための動作指標を作成すること.そして,その指標をもとに指導場面において生徒・学生自らがICT機器を用いて習得し,リズム系ダンスにおける表現力を高めるプログラムの開発を目的としている.そのため,今年度においては,リズム系ダンスの基本的な運動として屈伸運動(以下,ダウン)に関する評価指標の作成と,大学の共通教育におけるダンス授業にて,ICT機器活用に関する有用性の検討を行った. ダウンに関する評価指標の作成では,その指導言語とパフォーマンスの関連性について明らかにすることを目的とした.予備調査として中等教育,高等教育で教鞭を執る体育教員6名を対象に,望ましいと評価するダウンについて,自由記述にて調査を行った結果,上下動が大きく,両膝を曲げた際には上半身は背中を丸めた前傾姿勢(以下,コントラクション)であることが明らかになった.次に,ダンス指導の現場で,指導が難しいとされるコントラクションについて,二種類のオノマトペを用いた複数個の指導言語を用いて深度センサーによる動作撮影を行った.実験の結果,リズム系ダンスに適したダウンやコントラクションの姿勢について,被験者間でばらつきがみられた. ダンス授業でのICT機器活用の有用性の検討では,身体表現の向上を目的にした大学の共通教育にて,コンテンポラリーダンスの授業プログラム(半期)を考案し実践すると共に,授業アンケートによる評価を行った.最終回の授業終了時にアンケート調査を行った結果,タブレット端末を用いた学習効果について,約8割の学生が良好な評価を行っていた.さらに,アンケートの自由記述による非構造化データを用いて,テキストマイニングと共起ネットワークを明らかにすることが出来た.なお,今年度の研究成果については論文化および講演にて発表を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究の進捗状況として,概ね当初の計画通りに進行している状態である.今年度では,リズム系ダンスにおける表現について検討しその客観的な指標を作成するために,指導言語と動作の関連性に着目した.マーカレスで計測可能なモーションセンサーディバイス(Kinect for Windows)を用いて実験を行ってきたが,より精度の高い動作データが取得できるよう,実験プロトコルの見直しも検討すると共に,引き続き実験を行い,指標を作成する予定である.また,ICT機器を活用した授業研究においては,学生が学習支援ソフトを利用して毎回の授業で動きを撮影し,その動画を見て考察することが,e-ポートフォリオとして学習成果の記録にもなり,学生に表現力を考えるツールとなることが示唆された.さらに,ICTの強みであるクラウドを利用することで課外での学習にも有用であることも明らかになった.また,遠隔授業として海外のダンス指導者に直接指導を受ける機会を設けたことも,学生にとって授業での学びになったことが明らかになった.
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度の研究成果をふまえ,表現力を高める指導の指標として,表現に関する形容詞を使用するより,指導者が求める演者の動きについて,指導言語にオノマトペを用いるほうが,演者がより動作に表現を加えやすく実用的であると考えた.そのため,実験を行ってきたが,ダウンにおいては被験者間でバラつきが見られたため,精度の高いデータが取得できるよう実験プロトコルを検討し,研究をすすめていく予定である.さらに,ICT機器を用いた表現力を高めるダンスプログラムの開発として,大学での授業(半期)にて学習支援アプリを活用した授業モデルが確立できたため,引き続き,平成29年度に検討した実験内容および授業モデルを参考に,平成30年度ではリズム系ダンスの表現力を高められる授業実践ができるよう,精度を高めていきたいと考えている.その他,平成28年度や平成29年度で得られた結果は,随時,論文化および発表を国内外で行う予定である.
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