研究課題/領域番号 |
16K01712
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研究機関 | 四日市看護医療大学 |
研究代表者 |
菱田 慶文 四日市看護医療大学, 地域研究機構 地域研究センター, 研究員 (60625862)
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研究分担者 |
中嶋 哲也 茨城大学, 教育学部, 准教授 (30613921)
細谷 洋子 東洋大学, ライフデザイン学部, 准教授 (60389856)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 格闘技 / 柔道 / ブラジリアン柔術 / 総合格闘技 / ファベイラ / ソーシャル・プロジェクト |
研究実績の概要 |
本研究は、貧富の差がはげしく犯罪が多発するブラジルにおいて、格闘技はどのような意味を持っているのかを知るために、研究を始めた。具体的には、1)ブラジルにおける格闘技の位置づけと社会的役割、2)ブラジルにおける格闘技観、教育観、娯楽観、3)ブラジリアン柔術の日本の柔道(柔術)の影響と発生理由等を明らかにすることであった。 今回の研究で、明らかになったことを以下に記述する。ブラジルは、様々な人種・民族が存在し混血も進んでいる国家である。特に日本人移民が伝えた柔道は、オリンピックにおいての活躍は目覚ましく、貧民窟(ファベイラ)出身の女子柔道家は、金メダルを取得するほどの成績を残している。柔道は、競技人口が約200万人と推定されており、ソーシャル・プロジェクトとして、柔道を軸に教育しつつ、礼儀作法やまた、基礎的な学力などを身に付けさせるNGOも存在する。これらは、日系移民の子弟の教育手段であった嘉納治五郎の柔道の教育観が反映されていると言える結果であった。 柔道の影響受けてブラジルで創造されたブラジリアン柔術(BJJ)も同様であり、創造された当初は、一部の富裕層の護身術であったが、現在は、富裕層から中産階級、また、ファベイラに住む貧困層までにも教育手段として、ソーシャル・プロジェクトで普及され、教育手段として行われている実態も確認できた。 ブラジルには、バーリトゥドという「なんでもあり」という興行をしてきた経緯がある。それが発展し、現在は総合格闘技(MMA)として指導するジムがある。そのようなプロ選手を輩出するジムも上記のBJJにように、ファベイラや貧困家庭の子弟のために、ソーシャル・プロジェクトを行っていた。 これらは、ブラジルにおいて柔道・ブラジリアン柔術・総合格闘技が教育手段として一般的に認知されており、規模の違いはあるが、様々な形で行われていることが今回の調査で明らかになった。
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