研究課題/領域番号 |
16K01724
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研究機関 | 山梨大学 |
研究代表者 |
安藤 大輔 山梨大学, 総合研究部, 准教授 (10447708)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | レジスタンス運動 / 運動強度 / マイオカイン / 骨格筋由来生理活性物質 / イリシン / Irisin / メテオリン様タンパク / Metrnl |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、脂肪細胞の褐色化をもたらす生理活性物質に着目し、レジスタンス運動時のその生理活性物質の分泌動態から新たな視点で肥満予防のための運動方法を検討することである。そこで初年度は、脂肪細胞の褐色化を促すことが指摘されている血中のIrisin やMetrnlレベルの変動に及ぼすレジスタンス運動の運動強度の影響を検討した。 本研究では、健常な若年男性 6 名を対象とし、各被験者の1 RM の 70 % 強度で運動を行う条件 (H 条件)、1 RMの 35 % 強度で運動を行う条件 (L 条件)、日内変動を考慮するため安静を維持する条件 (R 条件) の 3 条件をそれぞれ異なる日に実施する無作為化クロスオーバー比較実験を行った。運動種目数は,8 種目とし、反復回数は、両運動条件とも7 回 × 3 セットに統一した。また、セット間、種目間の休息時間も全て 2 分間に統一した。採血は、H 条件、L 条件では運動前、運動終了直後、運動終了 60 分後とし、R 条件では同時間経過に一致させ採取した。Irisin 分泌に関しては、運動強度の相違による影響は観察されず、さらには、先行研究の結果と異なり一過性のレジスタンス運動による血中 Irisin 濃度の増大は見られなかった。また、血中 Metrnl 濃度に関しても運動強度の相違による影響は観察されず、予想に反し運動前に比較して運動直後、および運動 60 分後に減少した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画通りに異なる運動強度に関する一過性運動の影響に関するデータ収集ができている。しかしながら、本研究では、対象者に対する倫理的な配慮のため採血回数をその時点で必要と考えられた最低限の範囲にしたため、他の時間帯では運動強度の違いが生じていた可能性は否定できない。また、先行研究と若干運動プログラムの内容が異なったために予想に反する結果となった可能性もある。そのため、次年度以降には、運動プログラムの再検討や採血ポイントを増やし検討を進める必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
2年目は、セット間の休息時間の相違による影響を検討することを計画している。しかし、初年度の検討では予想に反する結果が得られていることもあり、上記の通り運動プログラムの再検討や採血ポイントを増やすことを考慮して研究を進めていく。また、Irisin、Metrnl以外の他の生理活性物質の変動も検討することも考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初計画では、備品として検体解析のための機器を購入する予定であったが、すべての解析機器を揃えるには予算不足であったため、学内の研究協力者に機器を借りて測定したことが1つの理由である。また、研究対象者に対する倫理的な配慮から採血ポイントを当初の計画より少なくしたことも1つの理由である。
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次年度使用額の使用計画 |
2年目は採血ポイントを増加させることを考えており、採血に必要な消耗品、採血者や研究対象者に対する謝金、検体を処理保存するための消耗品、検体の測定キット等の購入に使用する。また、褐色化を促す他の生理活性物質の測定に使用することを計画している。
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