研究課題/領域番号 |
16K01728
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研究機関 | 県立広島大学 |
研究代表者 |
山岡 雅子 (遠藤雅子) 県立広島大学, 人間文化学部, 教授 (30336911)
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研究期間 (年度) |
2016-10-21 – 2022-03-31
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キーワード | 胃内容排出 / 糖質の種類 / 大腿動脈血流量 |
研究実績の概要 |
糖質飲料に含まれる糖質の種類と消化吸収に関する先行研究によると,単一よりも複数の種類の糖質を混合した飲料の方が消化吸収が速く,摂取した糖質からのエネルギー貢献率が運動時に高いことが報告されており,多種類の糖質を含む飲料が運動パフォーマンスの維持・向上の点で注目されている。これまで,運動時に摂取する糖質飲料の種類に関する先行研究のほとんどは,エネルギーや水分補給といった消化吸収の面から検討されている。しかし,運動パフォーマンスを考える上では,糖質飲料摂取時に活動筋への血流量が維持されることも非常に重要な観点となる。糖質飲料摂取時には水分や糖質の消化吸収のために消化管への血流量も増加する。つまり,運動時に糖質飲料を摂取すると,限られた心拍出量を活動筋と消化管の2つの組織で奪い合うこととなる。したがって,運動パフォーマンスに効果的な糖質飲料を消化吸収と循環調節の両面から考えると,素早い消化吸収が可能で,かつ,筋への血流量が維持される飲料であると考えられる。そこで本研究では,基礎的資料を得るために,糖質の量(50g/400ml)を同等にしたグルコースとフルクトースの単一の飲料と各糖の比率を2:1(GF21条件)と1:1(GF11条件)に混合した飲料の4種類の飲料を安静時に摂取し,糖質飲料の種類の違いが消化吸収と循環調節に及ぼす影響について検討した。混合飲料は消化吸収が速く,かつ,大腿への血流量も維持・増加していた。混合比率については, GF21条件ではGF11条件と比べて小腸への血流量が上昇したことから,GF11条件の方が運動時に活動肢への血流配分をより増加できる可能性が考えられる。本研究の結果は,安静条件での実験の結果ではあるが,運動パフォーマンスの維持・向上のためには,グルコースとフルクトースの混合比率が1:1の糖質飲料が適している可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成29年8月21日~平成31年3月31日まで,産前産後の休暇および育児休業の取得により,研究を中断していたが,平成31年4月に復帰し,順調に進展している。今年度が最終年度であり,「高糖質補給による腸トレーニングと胃腸障害の関係」に関する実験を実施する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
一般的に,運動時にはエネルギーや水分補給を目的として,糖質を含むスポーツ飲料がよく摂取されているが,高強度運動時には,吐き気,胃の膨満感や腹痛といった胃腸障害をしばしば誘発するため,負の影響が危惧される。実際に多くの競技者が運動時の胃腸障害を経験し,レースの棄権を余儀なくされる場合もある。胃腸障害の発症要因として,摂取した飲食物の胃腸管内貯留があげられる。したがって,運動中の胃腸障害を予防し,運動パフォーマンスを維持・向上するためには,糖質飲料の胃腸管内での消化吸収促進が鍵である。 先行研究によると,高炭水化物の日常的な摂取は,腸管内で糖質の吸収能力を増加させる。また,たった3日間の高グルコース補給が,グルコース飲料の胃から十二指腸への排出(胃内容排出)を促進する。これらの現象は,これまで安静時のみでしか確かめられておらず,運動時においても同様の現象が生じるのか否かについては,検討されていない。もし,短期間の高グルコース補給が運動時にも同様にグルコース飲料の消化吸収を促進するのであれば,胃腸障害の軽減のみならず,エネルギーや水分の素早い補給にもつながり,運動パフォーマンスの維持・向上に非常に有用である。 そこで今年度の研究では,短期間の高グルコース補給が運動時に摂取するグルコース飲料の消化吸収を促進し,胃腸障害を予防するか否かについて検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
COVID-19によって,国際学会への参加が難しく,次年度使用額が260,518円生じた。今年度もCOVID-19の影響で国際学会への参加は難しいため,次年度使用額は,血漿インスリン測定のためのキット代に充当する予定である。
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