最終年度である平成30年度は,前年度までに実施予定としていた「自動車衝突試験用歩行者ダミーを用いた“頭部打撲の有無別”による頭部・頸部の衝撃力測定」が,実験で使用する柔道実験専用のダミー頭頸部モデル(特注機器)の完成にともない,合計2回にわたり実験を実施することができた.実験内容については,重症頭部外傷発生頻度が多いと報告されている,「大外刈り」と「大内刈り」の2種類の投げ技の測定データを取得することに成功し,なお頭部外傷受傷局面の再現性についても担保することができた. また,昨年度に引き続き「研究ボランティアによる受け身動作時に生じる頭部加速度及び頸部筋力・筋電測定」は介入研究実施機関の多大な協力もあり,2期間(各々3ヵ月間)にわたる介入実験研究を遂行することができた.なお,参加協力をしてくれた被験者の方々の真摯な取り組みもあり大変貴重なデータを取得することができた. 上記実験を実施できたことにより,本研究課題としていた以下の3つの大きなテーマについて全て実験実施に漕ぎつけることができた.1:「自動車衝突試験用歩行者ダミーを用いた“頭部打撲の有無別”による頭部・頸部の衝撃力測定」, 2:「ダミー頭頸部単体での振り子試験器による頭頸部衝撃力測定」, 3:「研究ボランティアによる受け身動作時に生じる頭部加速度及び頸部筋力・筋電測定」.さらに,これらの測定データの解析作業も進めることができ,学会等で公表することができた.
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