研究課題/領域番号 |
16K01738
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研究機関 | 日本女子大学 |
研究代表者 |
佐々木 一茂 日本女子大学, 家政学部, 准教授 (00451849)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 骨格筋 / エラストグラフィ / 電気刺激 / 伸張性収縮 / 筋損傷 |
研究実績の概要 |
本研究は、超音波せん断波エラストグラフィを用いて測定した骨格筋の活動時スティフネスについて、その空間不均一性と筋痛や筋損傷との関連性について検討することを目的としている。 平成28年度は筋スティフネスの空間不均一性を評価する方法の確立を目的とし、筋スティフネスの空間的分布を示したエラストグラフィ画像から筋スティフネス値を1ピクセル単位で抽出し、空間平均や空間標準偏差を分析するコンピュータプログラムを開発した。この妥当性を検討するため、対象筋(大腿四頭筋または上腕二頭筋)、収縮条件(随意収縮または電気刺激)、収縮強度が異なる様々なエラストグラフィ画像を取得し、それぞれについて超音波エラストグラフィ装置に内蔵されているソフトウェア(Q-Box)で分析した値と、新規に開発したコンピュータプログラムで計算した値との比較を行った。 その結果、コンピュータプログラムで計算した筋スティフネスの値(空間平均および空間標準偏差)とQ-Boxで分析した値との一致度は非常に高かった(決定係数はいずれも0.99以上)。また、Q-Boxで分析した値を基準とした場合の推定誤差は空間平均において2.6±2.4%、空間標準偏差において5.8±3.3%(いずれも平均±標準偏差)であった。このコンピュータプログラムは、筋スティフネス値の分析範囲(形状や面積)を自由に設定できる、ノイズやアーチファクトに由来する外れ値を除去して分析できる、分析処理を自動化・高速化できる、などのメリットを有しており、次年度以降の研究において有効に活用できるものと考えられる。 研究成果としては、若齢女性の下腿筋スティフネスについて基礎的なデータを第71回日本体力医学会大会で発表したことが挙げられる。現在、このデータについては学術誌への投稿準備を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
対象筋(大腿四頭筋または上腕二頭筋)、収縮条件(随意収縮または電気刺激)、収縮強度が異なる様々なエラストグラフィ画像について、当初予定していたほどの数は取得ができなかったものの、開発した筋スティフネス分析プログラムの妥当性はほぼ確認できたため「おおむね順調に進展している」と評価した。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度は当初の計画通り、静的収縮時における上腕二頭筋スティフネスの空間不均一性と遅発性筋痛・筋損傷との関連性を明らかにすることを目的として、以下の二つの実験を行なう予定である。 ・低頻度電気刺激条件と高頻度電気刺激条件との比較 ・随意収縮・電気刺激複合条件(電気刺激中に随意収縮を付加)と電気刺激単独条件との比較 いずれの実験についても、運動前後における筋痛・筋損傷指標、運動中における筋スティフネス値を測定・評価する。また、これらの実験に先立つ予備実験の段階で取得した画像を利用し、新規に開発した分析プログラムの妥当性検討と改良をさらに進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
超音波エラストグラフィ装置(Aixplorer、France)の国内販売代理業者が変更となったことに伴い、予定していた深部撮像用プローブの購入やハードウェア・ソフトウェアのバージョンアップが年度内に完了できなかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
未使用額は当初の予定通り超音波エラストグラフィ装置関連の物品費に充てる予定である。
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