研究課題
本研究の目的は,低酸素環境下で行う一過性の無酸素性運動が,血管新生因子の分泌に及ぼす影響について検討することであった.2016年度は,低酸素環境下で行う一過性レジスタンス運動が,常酸素環境下よりも血管内皮細胞増殖因子(VEGF)の分泌を促進することを報告した.2017年度においては,高齢者や子どもへの応用も想定し、負荷を低強度に設定して、一過性の低酸素レジスタンス運動に対する血管新生因子の分泌応答について検討した.その結果,低強度の低酸素レジスタンス運動では,血管新生因子の応答に影響を及ぼさないことを報告した.本年度(最終年度)では,低酸素環境下で行う一過性高強度インターバル運動が,血管新生因子の分泌に及ぼす影響について検討した.健常男性6名を対象とし,常酸素環境および低酸素環境で高強度インターバル運動を実施した.高強度インターバル運動は,自転車エルゴメーターを用いて,30秒間の全力ペダリングを4セット実施した.低酸素環境で高強度インターバル運動を実施する際は,酸素濃度を13.6%に設定して行なった.採血は,運動前,運動直後,30分後,および60分後に行った.測定項目は,VEGF,マトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)-2, MMP-9,およびエンドスタチンとした.VEGF,MMP-2,MMP-9,およびエンドスタチンは,両環境下で運動前と比較し運動後で有意に増加した.低酸素環境下における運動直後および運動30分後のVEGFの変化率(運動前と比較)は,常酸素環境下と比較し,有意に高値を示した.以上の結果から,低酸素環境下で行う一過性高強度インターバル運動は,常酸素環境下で行う同様の運動と比較し,VEGFの分泌を刺激する可能性が示唆された.
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Journal of Strength and Conditioning Research
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10.1519/JSC.0000000000002695
Applied Physiology, Nutrition, and Metabolism
巻: 44 ページ: 47-51
10.1139/apnm-2018-0355