本研究では、最終学年の医学生の協力を得て、ウェアラブル・デバイスを用いて睡眠覚醒リズムや運動に関する情報を継続的に収集し、またWEB質問票に定期的に回答してもらうことでメンタルヘルスの状態を継続的に調査した。 2016年度は、市販されているウェアラブル・デバイスについて、価格や充電一回当たりの記録時間、プログラムの作りやすさなどを検討し、利用するデバイスとしてJawbone社のUP3を採用、データ収集のためのシステムを作成した。6月にはプログラムの最初のバージョンをリリースし、インターネットからアクセス可能なサーバに設置、システムの検証を開始した。並行して、7月には研究計画書を倫理審査委員会に提出。審査委員会からの指摘事項への対応を行い、結果10月に承認を受けた。この後、本学の医学部医学科6年生に対して、ポスターおよびメールにてリクルートを行い、12月までに22名の参加者を得た。 2016年12月(一部の参加者は1月)よりデータ収集システムによる調査を開始。12月下旬から2017年3月にかけて、アクチグラフを併用した、ウェアラブル・デバイスの検証を全参加者に行った。ウェアラブル・デバイスによる睡眠覚醒リズムの検出では、アクチグラフに比べて睡眠時間が若干短く検出される傾向があることが分かり、2017年11月の第55回全国大学保健管理研究集会で報告した。 その後2018年5月まで調査を継続したが、Jawbone社のサービスが停止されたため、その後のデータ取得が不可能となった。他のウェアラブル・デバイスによる研究継続の可能性を検討したが、継続困難と考え予定より半年ほど早く調査を終了とした。2018年5月までの18か月間のデータについては、一部の解析結果を第43回日本睡眠学会定期学術集会(2018年)および第44回日本睡眠学会定期学術集会(2019年)にて報告した。
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