研究課題/領域番号 |
16K01758
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研究機関 | 兵庫教育大学 |
研究代表者 |
西岡 伸紀 兵庫教育大学, 学校教育研究科, 教授 (90198432)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 意思決定スキル / 熟慮型 / 直感型 / 児童生徒 / 教科書 / 発達段階 |
研究実績の概要 |
2018年度の目標は,①学習指導要領解説体育編,保健体育編における意思決定の分析結果をまとめる。②昨年度の課題である小中高の保健及び家庭の教科書における意思決定課題の抽出と整理,③それらを踏まえた小中高校生を対象とした意思決定に関する意識や実施状況の調査項目を検討する。さらに,小中高校生を対象とした意思決定に関する意識や実施状況の調査票を作成し,調査を行うことであった。 ①については,学校健康教育の特性に関して,意思決定スキルを含むライフスキル教育,資質・能力の育成を目指す新学習指導要領にて保健科教育を取り上げ,両者の関連性を論じた。その際,米国健康教育基準等を参照し,発達段階に応じた意思決定スキル育成の目標例,同スキル育成における参加型学習の重要性を紹介した(日本健康教育学会誌,2018)。 ②については,中学校,高等学校の主要な保健学習教科書各2冊について,意思決定が求められる具体的場面,意思決定に関するタイプ(熟慮型か直観型か),選択肢の個数,情報収集の有無等を分析した。その結果,傷害防止に関する単元で直観型が多いこと,高校より中学校の教科書に意思決定場面が多いことなど明らかになった。成果は,日本健康教育学会学術大会にて発表する。 ③については,小学生対象の意思決定スキル尺度を開発し,日本学校保健学会誌に掲載された。その結果,意思決定スキル尺度の下位因子として,「見通し(≒熟慮型)」「直観」「振り返り」を見出し,「見通し」は「振り返り」と相関が強く「直観」との相関は低いこと,日常生活の意思決定行動は,「見通し」や「振り返り」と有意に相関するが,「直観」との相関は低いことが明らかになった。本調査票は,中高生対象の質問紙調査票作成に参照できる(学校保健研究,2019)。一方,児童生徒に対するインタビュー調査は行っていない。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
今年度は,中高の保健教科書における意思決定の分析,小学生対象の意思決定スキル及び関連要因の把握は実施したが,主目的である意思決定に関するフォーカスグループインタビューの実施,意思決定状況調査の調査票の開発,実施については取り組んでいない。
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今後の研究の推進方策 |
リスクに関わるカリキュラムのマネジメントについて筆者が関与する神戸市立高校の高校生,及び,ライフスキル教育及び保健学習に関心の高い姫路市内及び芦屋市内の中学校の中学生対象に,インタビューを行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
昨年度,熟慮型及び直観型の意思決定について,児童生徒対象のフォーカスグループインタビュー及び質問紙調査を予定していた。しかしながら,意思決定に関する保健教科書の分析に時間を要し,両調査を実施できなかった。そのため,両調査データの入力,処理の費用が残った。今年度の予算は,まず両調査の実施に用いる。さらに,昨年度の教科書分析結果も踏まえ,熟慮型及び直観型の意思決定スキルカリキュラムの作成のために行う資料収集,分析のために使用する。
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