新任養護教諭の職務困難ストレス対処のための支援デザインの構築に向けての最終年度及び研究時間を通じての研究実績は以下の通りである。 本研究の目的は、ストレス対処を最も必要とする新任養護教諭を対象とし、首尾一貫感覚(SOC)の下位概念に着目し、調査研究の結果を踏まえ新任養護教諭の職務困難ストレス対処を解明した。また、支援ツールとなる「新任養護教諭のためのキャリアノート(以下キャリアノート)」の作成に取り組んだ。 平成28年以降、新任養護教諭に職務上の困難感及び新任養護教諭研修会の担当指導主事の新任養護教諭の印象、不足している力に関するインタビューを実施した。また、定年退職を経験した元養護教諭を対象とした「新任養護教諭時代から定年退職までのエピソードやその対応方法について」インタビューを実施した。それらの調査研究から得た知見をもとに、「キャリアノート」骨子案を作成した。 令和元年度は「キャリアノート」編集委員会を開催した。編集委員会は、研究分担者、研究連携者はもとより、学校現場の養護教諭の方々、また本学養護教諭養成課程卒業後、経験年数の少ない卒業生を対象とし、意見交換を重ね「キャリアノート」が完成した。「キャリアノート」は、首尾一貫感覚の下位概念である「把握可能感」「処理可能感」「有意味感」が得られるように、構成されている。多く学校で、一人職種である養護教諭が勤務校決定後、引継ぎを終えた後、着任からの一週間を乗り越えることが困難であること、また、担当指導主事のインタビューからは「なかなか他の教職員に聞くことができないことが示唆され、わからないことを教えてもらう姿勢の欠如が課題であった。また、着任直後に実施する「健康診断」を乗り越えること、1年間を見通せること、そして、日々の実践に職務として意味を見出せることに視点をおいた。都道府県、政令市教育委員会等へ参考資料として配布する。
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