研究課題/領域番号 |
16K01770
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研究機関 | 桜美林大学 |
研究代表者 |
芳賀 博 桜美林大学, 自然科学系, 教授 (00132902)
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研究分担者 |
吉田 裕人 東北文化学園大学, 健康社会システム研究科, 教授 (40415493)
佐藤 美由紀 神奈川工科大学, 看護学部, 准教授 (80550318)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | ヘルスプロモーション / アクションリサーチ / 高齢者 / 住民主体 / 介護予防 |
研究実績の概要 |
超高齢社会となった日本においては、高齢者が地域社会において役割を発揮することを通じて、ともにささえあう地域づくりに発展させることへの期待が高まっている。研究者らはH21年度から札幌市近郊(A市)において住民との対話とワークショップを通じて高齢者の社会参加や社会的ネットワークの構築を目指したアクションリサーチによる介入研究を進めてきた。本研究は、当該のフィールドにおける住民主体により創出された高齢者の地域活動促進プログラムの、(1)地区高齢者全体に対する健康増進や生きがいに対する長期的なアウトカム効果を明らかにすること、(2)介護認定率など介護予防に対する波及効果を明らかにすること、(3)地域のつながりづくりに対する波及効果を明らかにすること、(4)研究者の関わりが終了した後も主体的に地域活動が継続されているプロセス並びに活動の継続要因と課題を明らかにすることを目的としている。 平成28年度は、介入地区における地域活動の現状として、パークゴルフを楽しむ会、ラジオ体操の会、公園清掃ボランティアの会、森林公園を歩く会、絵手紙ボランティア、ガーデン散策の会、花壇見守りボランティアの会、イベント企画交流会等が活発に行われていることを確認できた。また、上記の研究目的(1)(3)を検証するためにアンケートによる追跡調査を行った。介入地区と対照地区の60歳(H.28.12.31現在)以上の全住民(310名)を対象とした。調査項目は、初回調査(H22年1月)に準拠するとともに、新たに創出された地域活動への参加有無に関する項目も追加した。アンケート票の回収状況は207名(66.8%)であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成28年度の研究計画は、(1)住民主体により創出された地域活動の現状把握 (2)地域活動の参与観察と地域活動リーダーへのヒアリング (3)介入地区、対照地区の60歳以上住民に対する郵送による追跡調査を実施することであった。この内、(1)及び(3)は年度内に終了した。ただし、(3)の追跡調査による回収票のエディティングと入力作業は、継続して進めているところである。(2)の「地域活動の参与観察と地域活動リーダーへのヒアリング」は未実施のため、平成29年度実施予定のグループインタビュー時に併せて行う予定である。(2)の未実施は、地域活動リーダーとの日程調整が年度内に間に合わなかったことによるものである。
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今後の研究の推進方策 |
1.追跡調査の分析 (1)初回調査回答者(H22年60歳以上)と7年後追跡調査回答者(H29年60歳以上)の横断データを基に、近隣のソーシャルサポート・ネットワーク、地域活動、健康度、生きがい等の介入前後の7年間の差異を、介入地区と対照地区とで統計学的有意性を検定する。(2)初回調査時に60歳以上かつ初回調査(H22.1)と追跡調査(H29.3)に回答した縦断デーを基に、近隣のソーシャルサポート・ネットワーク、地域活動、健康度、生きがい等の変化を、反復測定分散分析を用いて介入地区と対照地区とで縦断的変化を分析する。 2.地域活動のプロセス評価、地域の支え合いへの波及効果の検証 (1)一般住民からみた地域のつながりの変化と課題:1)対象とデータ収集方法;創出された地域活動に継続参加している者及び創出された地域活動に参加したことはあるがその後中断した者を対象にフォーカス・グループ・インタビュー 2)インタビュー内容;地域活動参加の継続理由または地域活動参加の中断理由、参加者の交流状況、近隣関係の現状と変化、地域活動の課題など (2)地域活動リーダーからみた地域のつながりの変化と地域活動継続プロセス:1)対象とデータ収集方法;創出された地域活動リーダーを対象に個別インタビュー 2)インタビュー内容;地域活動継続のために取り組んでいること、地域活動が継続している理由、参加者の交流の現状と変化、近隣関係の現状と変化、地域活動の課題など 3.介護保険データ分析のための準備 介護保険事業計画により状況把握をし、担当者とのデータ受け渡し方法について協議する。
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次年度使用額が生じた理由 |
28年度の実施計画のうち、アンケート調査を3月に実施したため、郵送費やデータ入力費が未払いとなっているために生じたものである。また、「地域活動の参与観察と地域活動リーダーへのヒアリング」は未実施のため、謝金が発生しなかった。ただし、当該ヒアリングは、H29年度に実施予定である。
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次年度使用額の使用計画 |
H28年度のアンケート調査に関わる未払い分の費用は請求があり次第に支払い予定。また、H28年度に未実施であったヒアリング調査に加えて、追跡調査の分析、地域活動のプロセス評価、地域の支え合いへの波及効果の検証、介護保険データ分析のための準備等に要する費用として当初計画通りに支出予定である。
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