研究課題/領域番号 |
16K01775
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研究機関 | 麻布大学 |
研究代表者 |
吉原 英児 麻布大学, 生命・環境科学部, 准教授 (80147975)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | ストレスマネジメント / 唾液アミラーゼ活性 / 心拍変動検査 / クロモグラニンA / 神経栄養因子 |
研究実績の概要 |
唾液アミラーゼ活性や心拍数変動検査は比較的安価で、一般家庭でも実施可能と思われる検査である。うつ病などの原因の一つと考えられるストレスをこのような簡易な検査で、どの程度まで評価できるかを検証することがこの研究の目的である。 脳神経・筋の検査法として行われている脳波検査の過呼吸賦活・閃光刺激あるいは反復神経刺激試験をスレッサーとして健常ボランティアに課し、その前後の唾液アミラーゼ活性の測定を行ったところ、反復刺激試験の前後ではアミラーゼ活性値に優位な差は無かった。しかし、閃光刺激の前後では、刺激後のアミラーゼ活性が優位に上昇した。さらに閃光刺激前後では、光駆動陽性群でアミラーゼ活性の上昇が見られた。過呼吸刺激ではビルドアップの有無に係わらず、刺激前後のアミラーゼ活性有意差は無かった。 この1年でさらに対照者数を増やして検討したが、上記の傾向に変化はなかった。今回はアミラーゼ活性の他に、唾液中クロモグラニンAの定量も行ったが、今のところ上記3種のストレス負荷の前後において、クロモグラニンAも唾液アミラーゼ活性ととほぼ同様の変化を示すことが確認された。唾液アミラーゼの測定はELISA法を用いるクロモグラニンAの定量に比べ、圧倒的に簡便であり、一般家庭においても唾液アミラーゼの測定はとても有効なストレス評価法であることが示唆された。また、ストレス負荷前後の心拍数変動検査の検討にも着手した。今のところストレス負荷後に交感神経が優位となる傾向にあると思われるが、統計学的に有意差があるかどうか、これからさらに例数を増やして検討する。 最終年ではさらに、唾液あるいは血漿中の脳由来神経栄養因子、唾液中のセロトニン量の関連も調査する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
健常ボランティアの再募集を、研究室ホームページや学内一斉メール等、倫理委員会で認められた手段で行ったが、やはり対象者がなかなか集まらず、当初の予定より、研究がやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
唾液アミラーゼ活性と心拍数変動検査が、一般家庭内でも実施できるようなストレスの客観的な評価法となり得るかどうかを他のストレスマーカーであるクロモグラニンAと比較してきた。今後はさらに唾液中のセロトニン量や唾液あるいは血漿中の脳由来神経栄養因子量との関連を調べていく。対照者(健常ボランティア)が予定より少ないため、引き続き健常ボランティアの募集活動も行う予定である。
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