研究課題
思春期女子生徒を対象にしたメンタルヘルスリテラシー(MHL)教育プログラム開発を試みた。開発に向け、知識提供だけではなく、対象者のニーズを踏まえ、実践的な体験を導入する内容を目指した。そこで毎年度、思春期女子生徒にMHL構成要素に基づいたテーマ設定の授業を実施した。令和元年度は、「対人関係とこころの健康」・「月経とこころの健康」の授業を実施した。介入群・対照群の事前事後の比較によって、その効果を検証した。その結果、こころの健康への関心度・対人関係への自己効力感・月経随伴症状への対処への授業実施の有効性が示唆された。これまでに、平成28年度は、精神疾患は誰にも起こりうることをテーマに、「ストレスケア・ストレスケアの体験」・「精神疾患の理解(当事者の体験談)」の授業を実施した。平成29年度は、心身相関をテーマに、「こころとからだと生活習慣」について、睡眠とスマートフォン使用に関するグループワークを導入した授業を実施した。平成30年度は、MHL獲得と思春期女子の対象特性を踏まえ、「こころとからだの健康‐自分の生活に目を向けてみよう‐」・「月経とこころの健康」・「対人関係とこころの健康」の授業を実施した。毎年度の授業実施後には、介入群と対照群への調査(こころの健康への関心度とMHL測定)を実施し、それぞれにおいて、こころの健康への関心度の高まり・MHL向上が明らかとなり、授業実施の効果が示唆された。以上、本研究において開発した思春期女子生徒を対象としたMHL教育プログラムは、対象特性を踏まえた上で必要な5項目、1.こころの働きと健康的な生活、2.ストレスとストレスケア、3.対人関係、4.こころとからだと生活習慣、5.精神疾患の理解、という内容で構成された。また、これらを、2年間4回分に振り分け、年に2回の授業を2年間1サイクルで行うパッケージとするプログラム開発に至った。