研究課題/領域番号 |
16K01781
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研究機関 | 神戸女子大学 |
研究代表者 |
糸井 亜弥 神戸女子大学, 健康福祉学部, 助教 (40333265)
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研究分担者 |
山田 陽介 国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所, 国立健康・栄養研究所 栄養代謝研究部, 研究員 (60550118)
木村 みさか 京都学園大学, 健康医療学部, 教授 (90150573)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 児童 / 身体活動量 / 体格 / 生活活動時間 / 20年後 |
研究実績の概要 |
本研究は、都市部同一小学校における調査により、児童の身体活動量、生活活動時間、体格の20年後の変化を検討することを目的に、100mの標高差がある地形的変化に富んだ住宅地を含む広い地域を学区とする都市部A小学校6年生87名を対象に、1週間、身体活動量、生活活動時間記録の調査を実施、協力者78名について分析した。対象者は肥満傾向児が全国値に比べて低率で、歩数は同学年児童より多いが、休日は平日の約50%有意に減少した。中強度以上の活動時間は推奨値(60分)に達しておらず、高強度の活動時間は同学年児童とほぼ同じ値であったが、休日の中強度以上および高強度活動時間は平日の3~4割に減少した。休日の活動量減少はテレビ視聴や座位の行動時間の長さが影響し、活動量は徒歩通学時間、運動時間と有意な関係があった。 一方、平坦な地形に住宅地が立ち並ぶ都市部中心地を学区とするB小学校3年生113名を対象に、1週間、身体活動量、生活活動時間、体格、食事、体力の調査を実施し、協力者95名について分析した。対象者は肥満傾向児が全国値に比べて低率で、歩数は同学年児童より多く、男子は女子より活動量が有意に多く、活動量が休日に減少する傾向は女子に顕著であった。中強度以上の活動時間は女子が推奨値に達しておらず、高強度の活動時間は男女ともに同学年児童より少ない傾向を示した。活動量は外遊びの時間、運動の習い事の時間と有意な関係があった。体力値は全国値に比べ、低値を示す項目が多かった。食事は穀類エネルギー比が低率で、Fe摂取量が少なく、休日にCa、いも、野菜、乳類の摂取量が減少し、菓子類の摂取量が増加する傾向を示した。体力向上には、日常生活にややきついと感じ、息がはずむような活動時間(中強度以上の活動時間)を増やし、食事はFeとCa摂取量(休日)の増加および間食におにぎり・果物・乳製品を摂取することが必要である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度は都市部A小学校6年生78名を対象に、平成30年1月24日から30日の1週間、身体活動量、生活活動時間、体格(以上は20年前と同一調査方法)の調査と、都市部B小学校3年生95名を対象に、平成29年5月30日から6月5日の1週間、身体活動量、生活活動時間、体格、食事、体力の調査を実施した。結果については、各小学校で保護者向けの報告会で報告し、紙面による個別の結果用紙を返却し、調査を完了した。 昨年度におけるA小学校6年生の調査については、活動量計測定には71名の協力を得たが、生活活動時間と食事の記録用紙の協力者が51名に減少し、この要因には生活活動時間と食事の記録が対象者に負担であったことが考えられ、今年度は、負担を軽減するため、食事調査を中止し、身体活動量と生活活動時間の調査とし、78名のデータを収集することができた。今後は、昨年度と今年度に収集したデータを、最近の都市部小学校6年生のデータとし、20年前との比較について結果をまとめ、学会発表や学術雑誌への投稿に向けて進めていく予定である。 農村部小学校については、小学校や教育委員会との調整がうまく進行できなかったため、未だ実施できていない。また、今年度に実施予定であったA小学校4,5年生の調査は対象校の意向により不可能であった。また、昨年度実施の身体組成(筋肉量・体脂肪量・骨量)の測定も不可能であった。 最終年度となる次年度には農村部小学校およびA小学校5年生を対象に実施できるよう、当該小学校と相談しながら進めていきたい。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度は、都市部A小学校6年生51名を対象に、身体活動量、生活活動時間、体格(以上は20年前と同一調査方法)、食事と身体組成(筋肉量・体脂肪量・骨量)の調査を、今年度はA小学校6年生78名の身体活動量、生活活動時間、体格(以上は20年前と同一調査方法)の調査を実施し、都市部小学校6年生のデータ収集を完了した。また、今年度は都市部B小学校3年生91名を対象に、身体活動量、生活活動時間、体格、食事、体力の調査も実施した。 来年度はA小学校6年生のデータを20年前と比較し、結果をまとめる予定である。また、平成28,29年度に調査が不可能であった農村部小学校高学年、および、A小学校5年生の調査を実施したいと考えている。再来年には今年度に調査したB小学校3年生を対象に、追跡調査として(本研究計画は来年度が最終年度となるが)、5年生を対象に調査を実施することが決定しているため、2年後の経年変化を観察する予定である。また、A小学校5年生を調査することによって、6年生のみならず、同一小学校による5年生の20年前の変化を知ることが可能になる。また、A小学校5年生との比較も可能になり、同じ都市部小学校であっても、地域環境が異なることによる身体活動量の差や生活活動時間の影響が明らかになる。A小学校および農村部小学校での調査については、当該小学校の意向を尊重しながら、できる限り調査が実施できるよう進めていきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度に使用額が生じた理由は、農村部小学校および都市部小学校4,5年生の調査がまだ実施できておらず、それに関わる費用を支出していないことによる。また、学会発表は2件実施したが、進捗状況がやや遅れていることもあり、本研究の成果を学術論文に発表するまでに至っておらず、その経費を支出していないことによる。 次年度(最終年度)の使用計画は、農村部小学校は東北地方に位置しており、調査開始までの小学校との打ち合わせ、調査用紙の回収、保護者向け結果報告会等に使用する飛行機による交通費、宿泊費、消耗品費(活動量計用電池、調査用紙印刷代、調査用紙宅配料等)を支出する予定である。都市部小学校4,5年生の調査も同様に、交通費、消耗品費を支出する予定である。合わせて、研究分担者との打ち合わせによる交通費、宿泊費等も支出する予定である。また、本研究の成果を学術論文に発表するため、英文校閲料、学会誌投稿料、論文掲載料、論文別刷料と、学会発表における学会参加費、交通費、宿泊費等も支出する予定である。
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