研究課題/領域番号 |
16K01782
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研究機関 | 武庫川女子大学 |
研究代表者 |
堀内 理恵 武庫川女子大学, 生活環境学部, 准教授 (60390126)
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研究分担者 |
平野 好幸 千葉大学, 子どものこころの発達教育研究センター, 特任講師 (50386843)
安細 敏弘 九州歯科大学, 歯学部, 教授 (80244789)
高橋 徹 福岡女子大学, 人間環境学研究科, 准教授 (80324292)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 肥満 / 食嗜好 / 食行動 / 幼児期 / 成人期 / 肥満関連遺伝子 |
研究実績の概要 |
課題初年度である平成28年度には、肥満関連遺伝子が体形に与える影響を評価し、その上で肥満関連遺伝子と食嗜好や食行動との間の関係も明らかにすることを目的とした。また、幼児期の食嗜好や食行動が成人期の食嗜好や食行動を制御している可能性がこれまでの研究から示唆されている。そこで、食嗜好や食行動の各項目が幼児期と成人期との間に相関があるかを明らかにすることも目的とした。近畿圏内の大学教職員22名と高齢者11名の計33名を対象とした。食嗜好・生活習慣については自記式質問調査を行なった。肥満関連遺伝子については遺伝子検査キット(株式会社タカラバイオ)を用いた。食事調査にはFFQg(建帛社)を用い、身体測定はInbody(Biospace社製)を用いた。BMIと体重については、肥満関連遺伝子による影響は認められなかった(p>0.1)。β3アドレナリン受容体の多型を有していると、幼児期に嗜好飲料あるいはファストフードの嗜好が低下した(p<0.05)。また、これらの多型を有していると、成人期に摂取エネルギー量あるいは油脂類の摂取量が低下した(p<0.03)。油っこいもの、麺類、ファストフード、スナック菓子、嗜好飲料、肉、魚に対する嗜好については幼児期と成人期の間で正の相関が認められた(p<0.05、偏相関)。早食いとよく噛む習慣についても幼児期と成人期の間で正の相関が認められた(p<0.05)。β3アドレナリン受容体等の肥満関連遺伝子は成人期の体形に影響を与えていないことが示された。その原因は、幼児期に嗜好飲料あるいはファストフードの嗜好が低く、成人期に摂取エネルギー量が低いことが原因である可能性がある。相関の結果から、油っこいもの、麺類、ファストフード、スナック菓子、嗜好飲料、肉、魚に対する嗜好および、早食いとよく噛む習慣については、幼児期に教育することが重要である可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
幼児期の食習慣は、成人期以降の食習慣および食嗜好を強力に制御しているため、幼児期の食習慣が肥満に与える影響が大きいと考えている。しかし、肥満になる要因は、遺伝子型や、心理状態、養育環境が関わっている可能性も指摘されている。平成28年度はβ3アドレナリン受容体等の肥満関連遺伝子は成人期の体形に影響を与えていないことを示した。その原因は、幼児期の食嗜好や成人期に摂取エネルギー量が原因である可能性がある。尚、幼児期の食嗜好の成人期のBMIに対する影響について完遂し投稿予定である。
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今後の研究の推進方策 |
β3アドレナリン受容体多型が食嗜好や食行動に影響する要因については不明である。体形に対する認識が介在し、エネルギー摂取を調節する可能性がある。そこで体形に対する認識を明らかにするための調査について倫理審査を受けている最中である。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成28年度予定していた調査対象者は50名であったが、実際は33名となったことにより、予定していた遺伝子調査、被験者謝金などの支出が減少した。調査校のご協力により、調査の事前準備が不要となり、結果報告も郵送になったことにより、旅費の支出が減少した。
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次年度使用額の使用計画 |
今年度、当初の予算計画に追加し、結果の解析に必要な統計ソフトを購入予定である。
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