研究課題/領域番号 |
16K01785
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研究機関 | 会津大学短期大学部 |
研究代表者 |
渡部 琢也 会津大学短期大学部, 幼児教育学科, 講師 (30410913)
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研究分担者 |
藤井 勝紀 愛知工業大学, 経営学部, 教授 (10165326)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 加齢評価システム / トラッキング / BMI / 東日本大震災 / 福島原発事故 / ウエーブレット補間モデル / リスク分析 |
研究実績の概要 |
本年度においては,「福島原発事故による身体発育へのリスク分析-肥痩度のトラッキング評価に基づく解析-」として研究報告を行った.本研究の背景として,震災時の環境下における身体の発育評価は,震災時前後のデータがないと解析が難しい.また,仮にデータが存在しても,現状においては,身体発育を縦断的に評価する方法論が確立できていないのが現実である.そこで,我々は,昨年度の研究で震災後の身体発育評価を確立するために,学齢期の縦断的BMIの加齢データ基づいて,ウェーブレット補間モデルを適用してBMIの加齢評価システムチャートを構築した.本研究は,福島県における原発事故の制限区域にある学齢期の子どもたちの肥痩度のトラッキング状態を検証し,どの程度の子どもたちが変動し,逸脱するかを検証しようとした.その結果,通常のトラッキング状態から逸脱した男子は39%,女子は37%であった。昨年度の我々が報告した研究では,凡そ男女とも15%程度であることから考えれば,原発事故の影響を受けた地域において明らかに多いことが示された.当然,原発事故により生活面や活動を制限されれば,体格,特に肥痩度に影響があると考えられる.したがって,震災による身体的発育発達への影響を検証する筋道ができたと考えられる.そして,福島原発事故の身体への影響が明らかになることによって,原発事故による災害の身体へのリスクが明確にされたと考えられることを報告した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、昨年度「東日本大震災環境下における学齢期の身体発育評価の確立-肥痩度のトラッキング評価チャートの構築-」を報告し、この研究をもとに「福島原発事故による身体発育へのリスク分析-肥痩度のトラッキング評価に基づく解析」として、実際に原発事故の影響を受けたであろう地域を縦断的に評価したところ、BMIにおいて明らかに影響があったと考えられる結果が得られたためである。
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今後の研究の推進方策 |
補足データを収集するとともに、震災下における発育促進化現象のモデルを確立する。 (1)補足データの収集:補足するためのデータを収集する。 (2)震災下における発育促進化現象モデルの提唱:得られたデータを分析し、震災下における発育促進現象をモデル化する。 (3)研究成果の発表:これまでに得られた結果を取りまとめ報告書の作成し、学会発表を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
データ解析用のPCが予定していた価格よりも低くなったことと国際学会の参加費用が見積もり価格よりも低価格になったことによる。データ解析用の物品の充実と国際学会での研究報告に充てること予定である。
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