研究課題/領域番号 |
16K01787
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
坪井 宏仁 金沢大学, 薬学系, 准教授 (20319338)
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研究分担者 |
松永 昌宏 愛知医科大学, 医学部, 講師 (00533960)
榊原 啓之 宮崎大学, 農学部, 教授 (20403701)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 神経炎症 / 抑うつ / 酸化 / 炎症性サイトカイン / n-3多価不飽和脂肪酸 |
研究実績の概要 |
[背景]うつ病または抑うつ状態は、健全な生活を阻害する大きな要因であり、その健康影響は増大している。うつ病の原因の1つが、神経炎症にあることが近年注目されている。 [目的]一般集団における、慢性炎症・酸化と抑うつ度の関係を精査し、うつ病予防の方策を探る。 [対象と方法] ①地域住民約400名を対象とし、抑うつ度を測定し、抑うつ度の高い女性14名と低い女性10名を選択し、炎症に関連するサイトカインの血清中濃度を測定し、それを抑うつ度と比較した。②さらに、神経炎症および神経酸化傷害に関する過去のデータ(女性労働者133名)を解析し、炎症性サイトカインおよび、酸化LDL、n-3多価不飽和脂肪酸とうつ状態の関連性を解析した。 [結果]①抑うつ度の高い者では、低い者と比較し、血中IL-17a濃度が有意に高かった(t検定 p<.05)。これは、交絡因子で調整しても同様であっ(ANCOVA p <.05)。TNF-αにも同様の傾向が認められたが、外れ値によるものと考えられた。②133名の再解析では、IL-6およびLDLの酸化率が抑うつ状態と正の関連を示し(交絡因子を考慮した階層的回帰分析:いずれもp <0.05)、パス解析を行ったところ、精神的ストレスが最も抑うつ状態と直接関連していたものの、そのストレスが、酸化およびIL-6を介しても抑うつ状態につながる経路も発見した。それらの関係から、n-3多価不飽和脂肪酸の血中濃度は独立していた。 [結論と課題]IL-17aについては、想定通りの結果であった。また、炎症・酸化・抑うつ状態およびn-3多価不飽和脂肪酸の関連について、新しい試験が得られた。今後の課題としては、データ量を増やし、再現性を確認することと、縦断調査をすることである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
測定した血清データに、前年度のものが間違って混入していたため、被験者情報を元にその分類をすることに手間取っている。その反面、過去のデータ再解析により、新知見が得られた。これらのため、進行状況はおおむね予定通りと言える。
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今後の研究の推進方策 |
上述した研究①の論文化(短報)と②の論文化を行う。また、間違って混入したサンプルの除外作業を完了する。さらに、本年度の血清をすべて測定完了する。
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次年度使用額が生じた理由 |
サイトカイン測定キットを購入するに当たって、別途資金で入手できたため、その分を使用しなかった。この差額分は、カンナビノイドまたはサイトカイン測定キットおよびその解析に必要な物品に使用する予定である。
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