研究課題/領域番号 |
16K01801
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研究機関 | 京都女子大学 |
研究代表者 |
今井 佐恵子 京都女子大学, 家政学部, 教授 (00438235)
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研究分担者 |
福井 道明 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (30247829)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 糖尿病 / 食事療法 / 血糖変動 / 夕食 / 間食 |
研究実績の概要 |
日本人の夕食時刻が遅くなる傾向にあるが、夜遅くに夕食を食べると食後の血糖上昇および血糖変動に影響し、体内に脂肪を蓄積しやすく肥満およびメタボリックシンドローム発症のリスクを高める。また、糖尿病患者の血糖コントロール悪化の要因の一つに過剰な菓子類摂取があげられるが、制限あるいは禁止を指示しても行動変容に結びつくことは困難である。 本研究は、2型糖尿病患者および健常者を対象に、夕食や間食の摂取時刻と摂取方法のちがいが血糖変動およびホルモン動態にどのような影響を及ぼすかを調べ、遅い夕食や間食が避けられない場合の具体的な対処方法について、科学的根拠を得ることを目的とする。わが国において糖尿病患者は激増しており現状のままでは合併症も進み、それに伴う患者のQOL低下や医療費増大は深刻な問題であり、発症予防および重症化予防の対策が重要な課題である。 本研究では、夕食や間食の摂取時刻、摂取方法を変えた時の血糖指標をクロスオーバー法により調べた。2型糖尿病患者を対象とした論文(Diabetes Research and Clinical Practice 129:206-212, 2017)および健常者を対象とした論文(Diabetes Research and Clinical Practice 136:78-84,2018)が国際糖尿病連合の学術雑誌に掲載された。 研究結果の要約としては、夜間遅い時刻に試験食を摂取すると夕刻に摂取した日よりも食後血糖値、夜間から朝までの血糖上昇曲線下面積、血糖変動が有意に高かった。しかしながら、食事を夕刻に炭水化物、夜遅い時刻に野菜とタンパク質のおかずと2回に分けて摂取すると、食後血糖値、夜から朝までの血糖上昇曲線下面積、血糖変動が有意に抑制された。この結果は2型糖尿病患者だけでなく、若い健常者においても同様であった。糖尿病の重症化予防だけでなく、糖尿病をはじめとする生活習慣病の発症予防においても有効性が期待できる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
夕食の摂取時刻と摂取方法の違いが血糖指標に与える研究については、糖尿病患者を対象とした研究論文および健常者を対象とした研究論文が2報、国際医学雑誌に採択された。間食の摂取時刻の違いによる血糖指標については、現在2型糖尿病患者を対象の研究論文を投稿中であり、健常者を対象とした同様の研究については、論文作成中である。 食事の摂取方法の違いによるインスリンやインクレチンホルモンの動態については研究を実施し、論文作成中である。
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今後の研究の推進方策 |
現在投稿中の2型糖尿病患者を対象とした間食の摂取時刻の違いと血糖指標については、今年度中に採択されると予想している。健常者を対象とした間食研究についても近日中に論文を完成し、投稿する予定である。2型糖尿病患者を対象に夕食の摂取時刻の違いがホルモン動態に及ぼす研究についても、データ解析、論文作成を実施する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
2型糖尿病患者における間食の摂取時間の違いが血糖値に及ぼす影響に関する研究の論文は投稿中であり、今年度中に採択される予定である。健常者における間食の摂取時間の違いが血糖値に及ぼす影響については、昨年度から研究プロトコールを修正し、研究を実施し、現在論文作成中である。これらの投稿料等が必要になる。今年度中に海外における国際学会で発表予定であるため、海外出張費、参加費等が必要となる。 また、2型糖尿病患者および健常者における夕食の摂取時刻と血糖指標に関する論文はすでに出版されたため、8月に開催される海外学会のワークショップに招待されており、海外出張費が必要である。食事の摂取時刻とホルモン動態についても順次、論文作成を進める予定である。
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