研究実績の概要 |
2型糖尿病患者および健常者を対象の介入研究において, 夕食時間が遅くなると血糖値は上昇し, 翌朝まで高血糖状態が持続したが, 夕刻に炭水化物, 遅い時刻に野菜と主菜と夕食を2回に分けて摂取することにより, 食後の高血糖と血糖変動を改善することができた。 2型糖尿病患者を対象に, 夕食時刻とホルモンを調べた介入研究では, 食後のインスリン値とインスリン上昇曲線下面積はいずれも21時夕食日が18時夕食日の1.5倍と有意に高値を示した。夕食を2回に分けて摂取した分食日のインスリン上昇曲線下面積の合計は, 21時に夕食を摂取したときより低い傾向を示し, その値は18時に夕食を摂取したときとほぼ同じであった。また, 夕食前の遊離脂肪酸は, 21時夕食日が18時夕食日及び分食日より約2倍高かった。夕食時刻が遅くなり空腹状態が持続すると, 血中の遊離脂肪酸が上昇しインスリン抵抗性が増大する。さらに, 食事誘発産生熱は昼間と比較すると夜間は50%低下することから, 同じ栄養量の食事であっても遅い時刻に摂取すると血糖値が上昇する。また食事を分割することで, 1回の食事量, 糖質量が減少し, 食後の血糖上昇が抑制される。 また, 2型糖尿病患者及び健常者とも, 間食は昼食から3~4時間後に適量摂取したほうが, 昼食直後や夕食後に摂取するより食後の血糖ピークおよび血糖変動を抑えられることが明らかになった。このことは, 食事を分割して摂取すると血糖値およびインスリン分泌量を抑制でき, 脂肪細胞の蓄積を抑え肥満防止につながる。 「食べ方」や「食べる時間」によっても, 生体は大きく影響を受けることが明らかになった。食事を摂取する際には, 食後の血糖値をできるだけ上げないよう食べ方と食べる時間に配慮することは, 糖尿病患者だけでなく, 健康な人にとっても, 健康寿命を伸ばす上で重要であると考える。
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