研究課題/領域番号 |
16K01802
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研究機関 | 梅花女子大学 |
研究代表者 |
廣川 空美 梅花女子大学, 看護保健学部, 教授 (50324299)
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研究分担者 |
権藤 恭之 大阪大学, 人間科学研究科, 准教授 (40250196)
本庄 かおり 大阪医科大学, 医学部, 教授 (60448032)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 少子高齢化 / 文化 / 価値 / 健康 |
研究実績の概要 |
2017年度は、2016年度に開始した大まかな解析の結果に基づき、成果を公表するために男女別高齢化指標や、教育歴と労働者割合の男女差の公表されているデータをWHO等から収集し、データセットを作成した。文化指標と平均寿命、合計特殊出生率、高齢化指標との関連性について分析を行い、論文化に向けた準備を行った。 解析の結果、Pearsonの相関係数では、「権力格差」の得点は男女の平均寿命や高齢化指標と有意な負の相関を示し、「個人主義」の得点は有意な正の相関を示した。一方、合計特殊出生率とは「権力格差」は有意な正の相関、「個人主義」は有意な負の相関を示した。重回帰分析の結果では、男女の高齢化指標と女性の平均寿命には「不確実性の回避」が正の関連を示していた。また、合計特殊出生率には、GDPと「不確実性の回避」の交互作用が見られ、GDPが高い国では「不確実性の回避」得点の高い国ほど少子化傾向であり、逆にGDPが低い国では「不確実性の回避」得点の高い国ほど多子傾向を示した。これらの結果は、1990年代の高齢化指標、平均寿命、合計特殊出生率において顕著にみられ、2010年代の指標との関連は弱くなる傾向が見られた。 これらの解析の結果に基づき、計画していた通り、少子高齢化を予測する文化指標として「不確実性の回避」に注目し、この得点とGDPとを組み合わせて地図上で色分けを行った。多子を予測するGDPの低く「不確実性の回避」も低いのは南アフリカや東南アジアの国に多く、少子を予測するGDPの高く「不確実性の回避」が高いのは日本やフランス近隣のヨーロッパの国であることが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
解析はほぼ終了し、今後は論文化に向けて先行研究の文献レビューを積み重ねる必要がある。また、細かい点についてまで追加解析を行う必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
現在までの解析結果に基づき、論文化を進め、今年度中に国際誌に投稿する予定である。また、作成した世界の少子高齢化の文化マップをWeb上で公開する予定である。さらに、University of North Carolina at GreensboroのVas Taras先生と打ち合わせを行い、今後の共同研究について議論を深めたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
購入予定であったノートパソコンの発注が遅れたため、次年度に購入することとなった。また、分担研究者権藤と本庄は、海外出張を予定していたが取りやめたため、今年度の分担金と併せて、海外研究者との情報交換のための海外出張旅費として使用する予定である。
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