研究課題/領域番号 |
16K01806
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研究機関 | 久留米大学 |
研究代表者 |
永光 信一郎 久留米大学, 医学部, 准教授 (30258454)
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研究分担者 |
岡村 尚昌 久留米大学, 付置研究所, 助教 (00454918)
角間 辰之 久留米大学, 付置研究所, 教授 (50341540)
松岡 美智子 (向野美智子) 久留米大学, 医学部, 助教 (80461458)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 睡眠 / CSHQ / 子ども |
研究実績の概要 |
多様化する生活環境の中、子どもたちの睡眠習慣は大きく変容し、その結果、子どもたちの情緒や行動に悪影響を及ぼしているものと思われる。望ましい子どもの睡眠習慣を国民に啓発していくことを目的として、平成28年度は1)中高生22,414名の睡眠習慣についての実態調査と2)国際的に汎用されている子どもの睡眠習慣調査票The Children's Sleep Habits Questionnaire (CSHQ) の標準化作業を実施した。男子⁄女子中学生の起床時間(5:00~6:00 6:00~7:00 7:00~8:00)の比率は、男子(7.7% 54.5% 36.0%)女子(9.6% 61.1% 28.1%)であった。就寝時間の比率(22:00~23:00 23:00~0:00 0:00~1:00)は、男子(18.3% 34.0% 13.9%)女子(15.4% 40.1% 17.9%)であった。男子⁄女子高校生の起床時間(5:00~6:00 6:00~7:00 7:00~8:00)の比率は、男子(17.4% 59.6% 20.1%)女子(22.5% 57.3% 17.7%)であった。就寝時間の比率(22:00~23:00 23:00~0:00 0:00~1:00)は、男子(4.3% 28.9% 33.4%)女子(4.1% 28.6% 36.1%)であった。高校生男女において深夜2:00以降就寝が男子で4.7%女子でも4.1%認められた。現在、上記睡眠習慣と幸福感、孤独感、健康感、希死念慮、家族機能、友人関係などとの相関を解析中である。CSHQに関しては、4歳から12歳における3,000人規模のアンケート回収は終了し、現在集計作業を実施している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
睡眠の質に客観性をもたせるために、携帯型1チャンネル脳波計を用いた小児の睡眠評価を実施中である。対象は健常の4~12歳の4名の児童で計7回の終夜睡眠を記録した。測定項目は、入眠潜時、睡眠時間、覚醒レム・睡眠・ノンレム睡眠の割合、中途覚醒数、平均睡眠周期、睡眠効率、熟眠度、第1周期のノンレム睡眠時を解析した。測定項目間の相関をPearson相関解析で評価した。入眠潜時が長いと睡眠効率が悪く、第1周期のノンレム睡眠時比率が有意に低かった。覚醒回数が多いとノンレム睡眠比率、睡眠効率、第1周期のノンレム睡眠時比率が有意に低かった。睡眠効率が高いとノンレム睡眠比率、第1周期のノンレム睡眠時比率が有意に高かった。熟眠度はいずれの項目とも相関はなかった。睡眠の指標とされる入眠潜時、睡眠効率、覚醒回数と第1周期のノンレム睡眠時(全ノンレム睡眠時における第1睡眠周期のδパワーの割合)に相関傾向が得られた。とくに第1周期のノンレム睡眠時比率(第1周期の睡眠深度)が子どもにおいても睡眠の質に影響を及ぼす可能性が示唆された。SSは子どもの睡眠の客観的評価に有用と考えられる。症例数を増やしさらに検討を実施していく予定である。標準化を試みている睡眠習慣質問紙(CSHQ)との相関なども解析をおこなっていく
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度には、上記全国調査で実施した中高生22,414名の睡眠習慣実態と、幸福感、孤独感、健康感、希死念慮、家族機能、友人関係、親子関係、などとの相関を解析中し、睡眠と情緒機能や対人関係を明らかにする。睡眠習慣質問紙(CSHQ)についは4歳から12歳において約3,000例のアンケートが終了しており、データー入力後に因子分析や信頼性などの標準化検査を実施する。妥当性検証のため、睡眠障害群のエントリーを実施していく。小児睡眠障害の定義を、入眠までに20分以上要する者、睡眠中の歯ぎしりや無呼吸を呈する者、途中覚醒で夜驚や夢中遊行を認める者、日中の過度の眠気を呈する者などを幅広く集めていく。単施設では症例数が限られるため、小児の睡眠クリニックなどの協力も得ていく。またバイオマーカーとしての尿中メラトニン産物6-SMの測定系を確立したため、CSHQ,や携帯型1チャンネル脳波計で得られた睡眠指標との関連についても検討を実施していく予定である。
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