研究課題/領域番号 |
16K01806
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研究機関 | 久留米大学 |
研究代表者 |
永光 信一郎 久留米大学, 医学部, 准教授 (30258454)
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研究分担者 |
岡村 尚昌 久留米大学, 付置研究所, 助教 (00454918)
角間 辰之 久留米大学, 付置研究所, 教授 (50341540)
松岡 美智子 (向野美智子) 久留米大学, 医学部, 助教 (80461458) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | CSHQ / 小児睡眠習慣質問票 / 睡眠障害 / 眠り / 小児 |
研究実績の概要 |
睡眠障害はうつ病だけではなく、起立性調節障害や不登校など心身症と関連深く小児領域の問題点として注目を集めている。睡眠評価ツールとしては、アクチグラム、睡眠表、ポリソムノグラフィーなどが代表的である。子供の睡眠習慣質問票(Children’s Sleep Habits Questionnaire:以下CSHQ)は、小児の睡眠障害をスクリーニング睡眠表であるが、日本版は標準化が実施されていない。今回我々は、日本版CSHQの標準化研究を2017年1~2月に実施した。対象は4歳から12歳の小児3,158名で、community sampleのサンプリングには大都市、中核都市、地方都市からの地域別に配慮した。Clinical sampleとして睡眠障害(入眠困難、夢中歩行等)の小児54名も実施した。日本版CSHQの記載以外にdemographic characteristics として、家族構成、家族の就労環境、年収、添い寝の有無、テレビ視聴時間、子どもの合併症の有無、親の睡眠の質(Pittsburgh sleep quality index)等を実施した。信頼性と妥当性の検証を、内的整合性であるクロンバックα係数とcut-off値で算出した。2,687名から回収し、回収率は85.0%であった。疾患群は55名の対象を調査した。内的整合性を示すクロンバッハのα係数は下位項目daytime sleepinessの係数が0.37と低い値であったが、他は0.49~0.67であった。community sample群とclinical sample群でtotal score、下位項目の全てにおいて、clinical sample群で有意に高値であった。cut-off値は48点(感度62.75%, 特異度 81.35%)であった。日本版CSHQの信頼性と妥当性が検証され標準化が実施された。小児の睡眠障害の客観的評価が可能となり、睡眠障害のスクリーニングや治療効果判定への使用が可能となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
子供の睡眠習慣質問票(Children’s Sleep Habits Questionnaire:以下CSHQ)の標準化が終了し、臨床活用ができる状態である。また、標準化データ取得時に、家族構成、家族の就労環境、年収、添い寝の有無、テレビ視聴時間、朝食摂取の有無、子どもの合併症の有無、親の睡眠の質(Pittsburgh sleep quality index)等のデータも取得しており、望ましい睡眠を妨げる因子の解析を今後行っていく予定である。Preliminary data として、喘息、アレルギー、発達障害などの合併症を有する小児科ではCSHQ-Jが有意に高く、朝食の欠如や添い寝がある場合もCSHQ-Jが有意に高かった。母親の睡眠との関連では、子どもの睡眠の質が悪くなればなるほど、母親の睡眠も悪化が認められた。年収による差は認めなかった。
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今後の研究の推進方策 |
生活環境に関わる因子(家族構成、家族の就労環境、年収、添い寝の有無、テレビ視聴時間、朝食摂取の有無、子どもの合併症の有無、親の睡眠の質)のすべてを含めてロジスティックス解析を行い、望ましい睡眠につながる因子を抽出し、望ましい睡眠の啓発をすすめていく予定である。また、保健指導の一環としてスマートフォンを活用したリーフレット、ゲーミフィケーションの概念を取り入れた適切な睡眠活動を促す認知行動療法モデルのアプリ製作を、共同開発していく予定である。
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