研究課題/領域番号 |
16K01829
|
研究機関 | 共立女子大学 |
研究代表者 |
深津 佳世子 (佐々木) 共立女子大学, 家政学部, 教授 (70338903)
|
研究分担者 |
鈴木 浩明 筑波大学, 医学医療系, 准教授 (40344890)
佐藤 英世 新潟大学, 医歯学系, 教授 (60235380)
桑原 隆明 茨城キリスト教大学, 生活科学部, 講師 (40784872) [辞退]
小林 翔 山形大学, 大学院医学系研究科, 助教 (10779490)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2021-03-31
|
キーワード | がん / アミノ酸 / 培養細胞 / 食事療法 / 腸内細菌 / ミトコンドリア |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、多くのがん患者に利用されている食事療法における科学的根拠の一端を、基礎研究と臨床研究の両面から明らかにすることである。 基礎研究としては、培養ヒト乳がん細胞(MCF-7)と培養正常ヒト乳腺上皮細胞(HMEC)を用いて、βアミノイソ酪酸(BAIBA)を培養細胞系に添加し、細胞増殖に与える影響を検討すると同時に、現在様々なミトコンドリア遺伝子の発現について、リアルタイムPCRを用いて検討している。とくに、MCF-7へのBAIBAの添加と非添加でみたマイクロアレイにおいて、動きの大きかった遺伝子をピックアップしてリアルタイムPCRをおこない、新規性の高い結果を得られつつある。さらに、HMECの増殖に対して影響を与えないか促進しMCF-7の増殖を抑制する食品成分について検討を行ったところ、食品成分クロロゲン酸は、無処理群の細胞生存率を対照として、様々な濃度添加後48時間で正常HMECでは検討したすべての濃度で無処理群より生存率が高かったにも関わらず、MCF-7では全ての添加濃度において濃度依存的に生存率が有意に低下することを見いだした。またその作用はAMPK阻害剤であるCompound Cの添加で解除されたことから、培養細胞においてクロロゲン酸はAMPK経路を介してがん細胞増殖を抑制することが示された。 臨床研究としては、研究倫理審査の承認に基づき、予備実験にて血中尿中BAIBA濃度の高かった対象者を中心に、(1)LC/MSを用いた微量自己採血中・尿中BAIBAの測定、(2)三日間秤量法食事記録の栄養計算ソフト「エクセル栄養君」を用いた摂取栄養素分析、(3)採便試料を用いた腸内細菌叢の16S rRNA解析、をおこなった。その結果、血中BAIBA濃度と腸内細菌の多様性に強い正の相関があることを見いだした。また、食物繊維一日摂取量と血中BAIBAにも正の相関が見いだされた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2018年度より研究代表者の所属研究機関が変わってから一年経ち、昨年度には本研究費でクリーンベンチを、当年度にはディープフリーザーも備え、そして当年度から倫理審査承認も得られ、共同研究もうまく回るようになり、ようやく良い研究環境を整えることができた。 しかし現在は新型コロナウイルスの影響で、所属機関が都心にあることもあり、基礎研究も臨床研究も行えない状況にある。発表予定だった国際学会も中止になってしまった。
|
今後の研究の推進方策 |
リアルタイムPCRを用いた遺伝子発現の検討を進め、その内容も含めて国際誌への論文投稿を行う予定である。新型コロナウイルスの影響で実験が行えない時は、少しでも論文執筆を進めていく予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
2018年度より研究代表者の所属研究機関が変わってから一年経ち、ようやく良い研究環境を整えることができ、次年度に本格的に研究活動を行いたかったため。
|