研究課題/領域番号 |
16K01844
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研究機関 | 武庫川女子大学 |
研究代表者 |
福尾 惠介 武庫川女子大学, 生活環境学部, 教授 (40156758)
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研究分担者 |
安田 修 鹿屋体育大学, スポーツ生命科学系, 教授 (00372615)
横路 三有紀 武庫川女子大学, 生活環境学部, 助教 (80757188)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | ミトコンドリア機能 / 尿細管障害 / 脂質代謝 / Apoptgenic protein-1 / 高齢者 |
研究実績の概要 |
研究(1)ミトコンドリア機能に関わるApoptogenic protein-1(Apop-1)が加齢による老化関連ストレスや腎機能低下に与える影響を明らかにするために、16週令及び48週令のApop-1遺伝子欠損マウス(Apop-1KO)と野生型マウス(C57BL/6J: WT)の比較検討を行った。その結果、48週令においてApop-1KOはWTに比し血中尿素窒素値が有意に高値であり、クレアチニンクリアランスが低値を示した。このことから、Apop-1は加齢に伴う腎機能低下に関与する可能性が示唆された。さらに老化の原因となる慢性炎症を惹起させるために、WT及びApop-1KOに高脂肪食を負荷し3か月間及び6か月間飼育した。高脂肪食負荷3か月目においてApop-1KOはWTに比し、普通食(NF)群及び高脂肪食(HF)群ともに摂餌量に差はないが体重増加量が少なかった。血中尿素窒素値やクレアチニンクリアランスはApop-1-HFとWT-HFで差はないが、興味深いことにApop-1KO-HFはWT-HFに比し、尿糖排泄量が有意に高値を示した。尿細管障害が生じている可能性が示唆されたため、今後、組織の観察や尿の詳細な分析を行う予定である。一方、高脂肪食負荷の有無にかかわらず、WTに比しApop-1KOは血中総コレステロール値及び血中ケトン体値が有意に高値を示し、血中ケトン体比率(ヒドロキシ酪酸/アセト酢酸)に大きな違いが認められた。このことからApop-1欠損は脂質代謝に何らかの影響を与える可能性も示唆された。 研究(2)Apop-1ジェノタイプの違いによる加齢性病的変化の相違を検討するために、平成28年度は地域在住高齢者の登録と血液検査、Apop-1ジェノタイプ解析を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究(1)高齢マウス及び高脂肪食負荷マウスの解剖及び基本的な血液検査まで終えた。組織解析やRNA発現等の解析が遅れているので、平成29年度はこれらの解析を進める。 研究(2)順調に行っており、平成29年度は予定通り統計解析を進める。
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今後の研究の推進方策 |
研究(1)平成29年度に5/6腎摘出マウスを作製する予定であったが、現時点で高齢モデル及び高脂肪食負荷モデルの解析が残っていること、高脂肪食負荷モデルで尿細管障害が生じている可能性が示唆されたことから、本年度は現在までに作製したモデルマウスの詳細な解析を優先して進める予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究を円滑に遂行するためのパソコンが年明けに必要になり、見積もり等に時間がかかり、3月に購入となったため、残高の把握が難しく9008円が残りました。
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次年度使用額の使用計画 |
平成29年度の物品費120万円に加え、研究に必要な消耗試薬を9008円分購入します。
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