研究課題/領域番号 |
16K01850
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研究機関 | 国立研究開発法人国立国際医療研究センター |
研究代表者 |
安田 和基 国立研究開発法人国立国際医療研究センター, その他, その他 (80311611)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | NASH / mRNA / miRNA / 生活習慣病 |
研究実績の概要 |
本研究では、ヒト肝組織試料を用いて、非アルコール性脂肪肝炎(nonalcoholic steatohepatitis: 以下NASH)について、mRNAとマイクロRNA(以下miRNA)の発現プロファイルの解析、及び両者の統合的な解析を行い、NASHを構成する各分子病態を解明することを目的としている。将来的には、血中のmiRNAプロファイルによるNASHの各病態の非侵襲的な診断の可能性を探る。 我々は医学的理由から減量手術(bariatric surgery)を受ける日本人高度肥満患者104名を対象に、事前に同意を得た上で、術中に肝生検を行い、得られた肝組織試料について、マイクロアレイによるmRNAとmiRNAの発現解析を行った。組織学的な所見からNASH及びNASHに矛盾しない症例は、89名であり、多くはボーダーラインあるいは軽度のNASHであったが、線維化が進行して術前には診断できなかった肝硬変に至っている、いわゆる「burned-out NASH」の症例も存在した。 平成29年度は28年度に引き続き、Agilent社SurePrint G3 Human GEマイクロアレイを用いたmRNAの網羅的な解析をより詳細に行った。すでに、unsupervised clustering解析により、同調して発現の変動するさまざまな機能的な遺伝子クラスター(炎症、脂質代謝、細胞増殖、線維化など)を得ており、これは、NASHの「multiple parallel hits hypothesis」を支持するデータと考えられるが、このほかにいわゆるsupervised 解析により、NASH特異的、あるいはステージ特異的に変化する遺伝子のうちから非常に興味深い遺伝子をいくつか選択し、ヒト肝細胞株、ヒト星細胞株にて、さまざまな刺激による発現制御機構の解析を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
生検肝組織由来のmiRNA解析について、マイクロアレイによる網羅的な発現データは取得できたが、(おそらく微量生体試料に起因する)データのqualityの問題、及びmRNAとの対応を解析するいくつかのプラットフォームの比較吟味を行なっているため、解析が遅れている。ただしその間、前述のように興味深い遺伝子の発現調節機構の解析を行った。
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今後の研究の推進方策 |
マイクロアレイによるmiRNAの網羅的な発現データについては、データのquality check及びmRNAとの対応の解析方法の吟味を行っており、今後mRNAとmiRNAとの関連の解析を行い、特に興味深い遺伝子については、我々の構築したin vitroの系にて発現調節におけるmiRNAの役割を検証し、NASHの病態との関連を検討する。さらに興味深いmiRNAについては、可能であれば同一症例での肝組織と血中miRNAとの関連の検討を試みたい。
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