研究課題
サルコペニア (加齢に伴う筋萎縮と筋力の低下) を迅速に診断して適切な治療を早期に開始するためには、筋萎縮の状況を正確にモニタリングできる血中バイオマーカーを所定の臨床診療に取り入れることである。申請者は、筋萎縮のprimary eventである神経筋シナプス (運動神経と骨格筋のつなぎ目) の変化を反映する分子が早期に筋萎縮を検出できるバイオマーカーになり得ると考え、神経筋シナプスの構造維持に必須の分子である MuSK (muscle-specific kinase) に着目した。本研究では、筋萎縮とMuSKの関係を明らかにすることで、MuSKがサルコペニアのバイオマーカーとして有用であることを示し、臨床現場への応用に繋げることを目的とする。昨年度までで筋萎縮の動物モデルにおけるバイオマーカーとしての有用性が認められたことから、平成30年度はヒトを対象とした研究を進めた。これまでの定量アッセイ系はマウス・MuSKのみを標的としたものであったが、抗原に対する親和性 (Kd値) がより高いモノクローナル抗体を用いてヒト・MuSKの定量アッセイ系を構築し、ヒト血清中のMuSKが高感度で検出・定量可能となった。実際にヒト血清中に存在するMuSKはモノクローナル抗体を用いたIP-WBで検出され、質量分析によってもMuSKの細胞外領域部分に由来する配列が同定された。このアッセイ系を用いることで、血中MuSK濃度が高い疾患患者が存在することが明らかとなり、臨床現場における利用可能性が示唆された。
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Clinical and Experimental Neuroimmunology
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