| 研究課題/領域番号 |
16K01853
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| 研究機関 | 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所) |
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研究代表者 |
河合 恒 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 研究員 (50339727)
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| 研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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| キーワード | スタチン / ミオパチー / 筋力 / 運動機能 / 地域高齢者 / 介護予防 |
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| 研究実績の概要 |
本研究では、高脂血症治療薬のスタチンの服用が、地域高齢者の身体の痛み、運動機能低下などのミオパチーの初期症状に影響しているか調査することを目的としている。このような症状はStatin-associated muscle symptoms(SAMS)と呼ばれる。一方で、スタチンは心血管イベント発症リスクを低下させることで、抑うつや認知機能に対してよい効果をもたらすことも示唆されている。研究計画3年目の平成30年度は、地域高齢者におけるスタチン服用とSAMSとの関連に関する縦断的分析を行うとともに抑うつや認知機能への影響についても検討した。スタチン服用とアウトカム指標との関連を調査するための追跡調査も行った。
分析は、ベースライン調査、2年後追跡調査において、お薬手帳を複写してスタチン系薬剤服用をチェックできた311名を対象とした。ベースライン、追跡調査においてともにスタチンを服用していた者を服用群、ともに服用していなかった者を非服用群として、ベースライン、追跡調査における運動機能、抑うつ、認知機能などの2群間の差を検討した。その結果、服用群では、ベースライン時の握力、通常・最大歩行速度、TUG、追跡調査時の握力、通常歩行速度が非服用群と比較して有意に低値であったが、共変量を調整した結果、服用群では非服用群と比較して運動機能の低下は有意ではなかった。一方で、抑うつ得点は服用群において有意に良値を示した。これらのことから、地域高齢者においてスタチンの継続的な服用による運動機能低下への影響は顕著ではないが、抑うつに関しては改善をもたらす可能性が示唆された。
追跡調査は、板橋フィールドにおいて会場調査を実施し、スタチン服用状況、握力、歩行速度、骨格筋量、膝・腰の痛み、倦怠感などのデータを収集した。調査参加者数は、769名(男性304名、女性465名)であった。
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| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究では、板橋フィールドと豊島フィールドの両方において収集したデータによって、大規模な統合データセットを作成し、それによってスタチン種別による影響の分析を行う計画としているが、平成30年度は統合データセットの整備が遅れ、これらの分析に着手することができなかったため。
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| 今後の研究の推進方策 |
平成31年度は研究最終年度となるので、追跡調査において新規の生活機能障害や要介護の発生などのアウトカム指標の測定を行い、スタチン服用によるこれらへの縦断的な影響を分析する計画である。平成30年度の縦断的分析は、板橋フィールドにおけるベースラインおよび2年後のデータを用いたため、スタチン継続服用者が少なかった。平成31年度はそれらの分析結果を裏付けるため、豊島フィールドや新規受診者データを加えた統合データセットによる同様の分析を行い、その成果を論文として発表する。また、統合データセットではスタチン種別（プラバスタチン、シンバスタチン、フルバスタチン、アトルバスタチン、ピタバスタチン、ロスバスタチン、カデュエット）や水溶性と脂溶性の違いによる比較もできると考えている。
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| 次年度使用額が生じた理由 |
当該年度において収集したお薬手帳データの入力、データセットへの統合作業が一部完了していないため、研究補助のアルバイトのための人件費に残額が生じた。残額については、次年度にデータセット作成補助のアルバイトの雇用に使用する。また、論文発表のための英文校正代に充てる。
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