脳機能を非侵襲に測定することの出来るツールである磁気共鳴画像法(MRI)を用い、健常児童の発達に伴う脳機能の変化を、年齢や発達段階ごとに調査し、生活環境・習慣との関連を調査した。そして、学童期児童から成人までの注意・集中能力に関する発達と、その能力を向上させる作業を脳科学の見地から明らかにし、得られた成果を実際の教育現場へ成果を還元することを目的としている。 まず、注意・集中に関する脳機能及び脳構造を調べるMRI実験を行うための、実験を企画し、これまで行ってきた注意能力を調べるためのANT課題(AttentionalNetwork Test)と、反応抑制課題(Go-Nogo Test)を合わせて行う。また脳の構造的変化や神経走行の変化を評価できる撮影を行い、それらを解析することで、どのような認知能力が脳のどの構造の変化と対応するかを明らかにする。 前年度に引き続き、MRIを用いた研究のセットアップを行い、脳機能評価・脳構造評価を行うための調査を行っている。被験者として、成人38名と児童47名にMRI計測を行い、脳の構造と行動の関係を評価した。 そのほかにも、日常の親子関係や性格傾向、生活態度などを評価する質問紙データも取得し、それらの項目と脳構造との関係を解析・評価を行った。また、発達と共に変化する白質神経走行も成人・児童共に計測し、年齢とともにどの領域がどのように変化するか、また環境の要因がどのように影響しているかを解析した。上記に加え、児童の反応抑制能力を評価するための課題を設定・実施し、脳機能と構造の関係を調べると共に、唾液中のオキシトシン濃度が反応抑制能力にどのように関与しているかについて纏めている。
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