本研究は,小児期の骨格筋の量的変化を超音波法を用いた筋厚で,質的変化を超音波輝度評価を用いた筋輝度で測定し,形態・身体組成,身体活動量,筋機能および発育発達との関わりについて検討することを目的として実施した. 平成29年2月に保育園年中・年長の35名の小児を対象に,1)形態・身体組成,2)超音波法による腹部内臓脂肪および上腕並びに大腿の筋厚および筋輝度,3)呼気ガス分析による安静時エネルギー消費量,4)二重標識水法による1日総エネルギー消費量,5)膝伸展動作による等尺性筋力,6)床反力測定機を用いた全身反応時間,を測定し,平成29年度前半には,4)を除くデータ分析を終えた.4)については,機器の修繕等により大幅に分析が遅れていたが,平成30年9月~平成31年3月の期間で,対象となる35名の分析を終え,現在は平成30年度までに分析を終えた他の項目との比較検討を行なっている. 本研究では,小児期の肥満のより内臓脂肪および異所性脂肪(筋内脂肪)が蓄積することが示され,今後は身体活動量との関わりについて検討を進める.また,運動機能評価として実施した全身反応時間測定では,その変化は動作開始時間が影響しており,筋の発育よりむしろ脳神経系の発育が影響する可能性が示された.今後はこのことと身体活動量の関わりを検討する. 平成30年2月,平成31年2月には3)と4)のエネルギー消費量測定を除いた項目について,同施設において園児計302名(平成30年度:135名,平成31年度:167名)を対象に測定を実施したため,今後縦断的な検討を行う予定である.
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