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2019 年度 実施状況報告書

乳幼児期の象徴化を生みだす分離と言葉に関する臨床心理学的研究

研究課題

研究課題/領域番号 16K01867
研究機関奈良女子大学

研究代表者

黒川 嘉子  奈良女子大学, 生活環境科学系, 准教授 (40346094)

研究期間 (年度) 2016-10-21 – 2021-03-31
キーワード乳幼児のことば / 移行対象 / 象徴化 / 乳幼児心理臨床 / プレイセラピー / 情緒応答性
研究実績の概要

本研究では、言葉を話し、自身を物語り、他者とコミュニケーションをとるようになる過渡期にあらわれる乳幼児期特有のことばをとらえ、(1)分離のプロセスと言葉、(2)身体感覚をともなう言葉、(3)遊びことと話すこと、の3つの研究項目について検討している。
令和元年度は、養育者(母親)の視点から、子どもが言葉を話すようになるプロセスや関わりの変化について検討した。言葉の意味を共有できる者との会話とは異なる、infantとの会話では、言葉において非対称な関係にあることや、乳幼児にむけて話すことば(Infant Directed Speech)はポジティブな情緒を基調とする特徴があることから、母親は、乳幼児の反応を感じながらも、どこか一人芝居のような“ひとり”という体験をしていることが示唆された。この“ひとり”の体験において、母親としての責任をともなう直感(Stern,D.N.,1998/2912)との関連から、子育て支援における新たな視点としてさらに考察を深める。
離乳のプロセスについての母親の語りからは、密着した直接的回路の確実性と母乳育児を通して母親が得てきた親密さや愛情を手放すことへの寂しさや躊躇いが抽出された。言葉を話し、自分自身を物語ろうとする2歳代、3歳代においても、園から帰宅した後や就眠時のみ授乳の形態による関わり合いが続いていることを語る母親たちからは、子どもの成長の喜びとこれまでの関係の喪失の双方を扱っていくことの重要性が示された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

令和2年2月~3月に、観察や対面設定による調査を予定しており、新型コロナウィルス感染予防の点から、延期となっている。初年度が半期だったことと重なり、進捗状況としては遅れている。

今後の研究の推進方策

延期になっている調査(母子相互作用の観察研究および母親の情緒応答性の調査、移行対象および自閉対象の調査)を、感染予防対策を講じたうえで、方法を再検討し、実施していく。

次年度使用額が生じた理由

初年度後期からの研究開始により、初年度の経費執行が大幅に少なく、その分を翌年に繰り越し、研究進捗状況に合わせて執行していた。しかし、令和元年度に予定していた調査が延期となり、さらに謝金や旅費の執行が令和2年度に繰り越すことになった。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2020

すべて 雑誌論文 (1件) (うちオープンアクセス 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] 離乳のプロセスにおける喪失と象徴化-乳幼児をもつ母親にとっての「言葉」-2020

    • 著者名/発表者名
      黒川嘉子
    • 雑誌名

      奈良女子大学心理臨床研究

      巻: 7 ページ: 25-30

    • オープンアクセス
  • [学会発表] 移行対象としての言葉:象徴機能の発達における「ゆらぎ」とその意義2020

    • 著者名/発表者名
      黒川嘉子
    • 学会等名
      日本発達心理学会第31回大会,ラウンドテーブル

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公開日: 2021-01-27  

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