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2020 年度 実施状況報告書

乳幼児期の象徴化を生みだす分離と言葉に関する臨床心理学的研究

研究課題

研究課題/領域番号 16K01867
研究機関奈良女子大学

研究代表者

黒川 嘉子  奈良女子大学, 生活環境科学系, 准教授 (40346094)

研究期間 (年度) 2016-10-21 – 2022-03-31
キーワード乳幼児のことば / 移行対象 / 象徴化 / 乳幼児心理臨床 / プレイセラピー / 自閉症スペクトラム
研究実績の概要

本研究では、言葉を話し、自身を物語り、他者とコミュニケーションをとるようになる過渡期にあらわれる乳幼児期特有のことばをとらえ、(1)分離のプロセスと言葉、(2)身体感覚をともなう言葉、(3)遊ぶことと話すこと、の3つの研究項目について検討している。
令和2年度は、(3)遊ぶことと話すことを検討するために、プレイセラピー事例研究をおこなった。プレイセラピーにおけるおもちゃは、子どもにとっては言葉のように用いられるものであり(Landreth,2012/2014)、同じプレイルームで同じおもちゃが備えられている中でも、子どもによって全く異なる体験が創り出される。移行対象としての言葉を検討する中で示された、完全に象徴化する前の言葉も、「自分のもの」として、その子ども独自の体験を創り出す。ただし、その「自分のもの」も、他者と意味を共有できるという社会につながる性質を有していることが、移行対象概念(Winnicott,1953)における実在性actualityの重要性として理解することができる。おもちゃのもつ実在性は、意味を共有する他者(セラピスト)との間で可能となり、子ども独自の体験も可能となるという逆説性を含んでいる。
自閉症スペクトラム児のプレイセラピーは、二次障害へのアプローチとして位置づけられることが多いが、自分なりのおもちゃの使用を通して創り出す独自の体験を、映し返す他者としてのセラピストと共有され、その遊びが展開していく。これは、前象徴的段階から象徴化していくプロセスとなり、自身を物語る(話す)ようになることが示され、象徴機能の発達に寄与することが示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

新型コロナウイルスの流行により、当初予定していた母子相互作用の観察研究や、対面設定による調査を実施できなかったため。

今後の研究の推進方策

延期になっている調査(母子相互作用の観察研究および母親の情緒応答性の調査、移行対象および自閉対象の調査)を、感染予防対策を講じたうえで、方法を再検討し、実施していく。

次年度使用額が生じた理由

初年度後期からの研究開始により、初年度の経費執行が少なく、その分を翌年度に繰り越して研究進捗状況に合わせて執行していた。そこに、令和元年度および令和2年度の新型コロナウイルス感染拡大により、予定していた調査が延期になり、謝金の執行や、予定していた学会発表や学会参加がなくなり、旅費等の執行ができず、令和3年度に繰り越すことになった。

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公開日: 2021-12-27  

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